リタイア6台の耐久戦をレッドブル育成のビップスが制す。佐藤万璃音は13位【FIA-F2第3戦アゼルバイジャン レース2】

 6月5日(土)、2021年FIA-F2第3戦アゼルバイジャンのスプリントレース2(決勝レース2)が開催され、ユーリ・ビップス(ハイテックGP)がF2キャリア初優勝。佐藤万璃音(トライデント)は13位だった。

 スターティンググリッドはレース1のトップ10にリバースグリッドが適用される。ポールポジションはベント・ビシュカール(トライデント)、2番手にデイビッド・ベックマン(チャロウズ・レーシング・システム)、3番手はビップス、4番手にマーカス・アームストロング(ダムス)、佐藤は18番手につける。

 周回数は21周でタイヤ交換の義務はなし。レース1に引き続き晴れのバクー市街地サーキットは気温24度、路面温度は37度で路面はドライ。直前に行われたF1予選が長引いたため予定時間よりも35分遅い日本時間23時15分にフォーメーションラップがスタートし、スプリントレース2がスタートした。

 ターン1で8番手スタートの周冠宇(ユニ・ヴィルトゥオーシ)がハードブレーキングするも、前を走行していたリリム・ツェンデリ(MPモータースポーツ)に接触。周はエスケープゾーンへコースオフしツェンデリはスピン。結局2台はリタイアとなりセーフティカー(SC)が導入される。

 SCが出る前にはターン2でベックマンがビシュカールに並び、直後のストレートで追い抜きトップに浮上。その後方では数台が接触し、エスケープにマシンを停止したラルフ・ボシュング(カンポス・レーシング)がここでレースを終えている。

 レースは3周目から再開。ベックマン、ビシュカール、ビップス、ユアン・ダルバラ(カーリン)の順でターン1を進む。ここで速さを見せたのがダルバラで、ターン2でビップスのインを突き3番手へ浮上。しかしビップスも直後に抜き返し、レッドブルジュニアドライバーの仁義なき戦いが繰り広げられた。

 勢い付いたビップスは最終コーナーからビシュカールの背後に忍び寄り一気にサイドバイサイドに。そして4周目のストレートエンドでブレーキング勝負に持ち込みアウトからオーバーテイク。2番手に順位を上げ、約1秒前方のベックマンを追いかけていく。

 バトルが一旦沈静化したと思いきや、ふたたびアクシンデントが襲う。6周目のターン2で、8番手を走行していたリチャード・フェルシュフォー(MPモータースポーツ)が曲がりきれずにマシンがウォールに刺さりストップ。フェルシュフォーはすぐにマシンを降りたが、マシン回収のために2度目のSCが導入された。

 全車のギャップがリセットされ、2度目のリスタートは8周目から。ベックマン、ビップス、ビシュカール、ダルバラの順に加速していく。ビシュカールがレイトブレーキでビップスを交わすがオーバーランして順位をふたつ下げてしまう。

 後方ではクリスチャン・ルンガー(ARTグランプリ)がスリーワイドのアウト側を走行しターン1に進入するも接触しコースオフ。マシンはバリアに接触しストップ、ルンガーはここでリタイアに。さらにマーカス・アームストロング(ダムス)がターン4を曲がりきれずウォールに刺さり、こちらもリタイア。これにより9周目の途中までバーチャル・セーフティカー(VSC)となった。

 レース再開後の11周目、ペースの良いビップスが首位ベックマンとテール・トゥ・ノーズでコントロールラインを通過。ターン1手前で余裕の追い抜きを見せトップに上り詰めた。また20番手スタートだったリアム・ローソン(ハイテックGP)が6番手までポジションアップしている。

 これ以降は序盤と一転してバトルやアクシデントもなく淡々と周回数を消化。しかし2番手のベックマンから5番手のロバート・シュワルツマン(プレマ・レーシング)まで4台がそれぞれ1秒以内の差に詰まっていき、残り5周を迎えることに。

 この4台は接近しており、それぞれがDRSとスリップストリームを使える状態にあったため追い抜きはならず。ビップスがトップでチェッカーを受け、自身初のF2初優勝に。2位のベックマンと3位のダルバラはそれぞれ開幕戦レース1以来となる表彰台を獲得。佐藤は13位フィニッシュだった。

 フィーチャーレース(決勝レース3)は日本時間6月6日(日)の17時45分からスタートする。

■FIA-F2第3戦アゼルバイジャン スプリントレース2(決勝レース2) 暫定リザルト

Pos. No. Driver Team Time/Gap

1 8 J.ビップス ハイテックGP 21Laps

2 14 D.ベックマン チャロウズ・レーシング・システム 3.260

3 6 J.ダルバラ カーリン 3.883

4 24 B.ビシュカール トライデント 4.644

5 1 R.シュワルツマン プレマ・レーシング 5.002

6 5 D.ティクトゥム カーリン 6.213

7 7 L.ローソン ハイテックGP 6.751

8 2 O.ピアストリ プレマ・レーシング 9.138

9 10 T.プルシェール ARTグランプリ 13.315

10 4 F.ドルゴヴィッチ ユニ・ヴィルトゥオーシ 15.473

11 20 M.ナニーニ カンポス・レーシング 17.975

12 22 J.エイトケン HWAレースラボ 22.828

13 25 佐藤万璃音 トライデント 25.675

14 15 G.サマイア チャロウズ・レーシング・システム 49.981

15 23 A.デレッダ HWAレースラボ 52.037

16 16 R.ニッサニー ダムス 1’31.818

— 17 M.アームストロング ダムス DNF

— 9 C.ルンガー ARTグランプリ DNF

— 11 R.フェルシュフォー MPモータースポーツ DNF

— 21 R.ボシュング カンポス・レーシング DNF

— 3 周冠宇 ユニ・ヴィルトゥオーシ DNF

— 12 L.ツェンデリ MPモータースポーツ DNF

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