【津久井やまゆり園】神奈川知事、委員会発足の意向 「地域移行を前提にした施設」

開所式でテープカットする黒岩知事(左から3人目)ら関係者=津久井やまゆり園(代表撮影)

 「新しい津久井やまゆり園は地域移行を前提とした施設で、終(つい)の棲家(すみか)ではない」。神奈川県の黒岩祐治知事は当事者の視点に立った障害者福祉を実現するため、専門家を交えた委員会を発足させる考えを明らかにした。

 園の再建に当たり、県は障害者の地域移行を大きな柱に掲げてきた。2018年3月に公表した「障害福祉計画」では、16年度末の県内の施設入所者4899人のうち約10%に当たる470人を、20年度末までに地域移行するという目標を立てた。

 新施設では、ユニットバスやトイレを備えた「地域生活体験部屋」を新設。県の担当者は「地域社会での生活をイメージできるよう、一定期間、生活してもらえたら」と話す。

 こうした県の方針について、かながわ共同会の山下康理事長は「施設の必要性はある」とした上で、「地域生活を体験して疲れてしまっても、一時的に施設に戻って支援を利用していただく方法もある」と述べ、グループホームや相談支援機関と連携して地域移行を進める考えを示した。

 県によると、事件後、津久井やまゆり園の元入所者11人が、グループホームなどに地域移行したという。

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