富田林の逃走男、二審も懲役17年 傍聴席から「また逃走しよるで」の声も

2018年、留置先の大阪府警富田林署で接見室のアクリル板を壊して逃走し、加重逃走や窃盗などの罪に問われた無職樋田淳也被告(33)の控訴審判決で、大阪高裁(長井秀典裁判長)は5日、懲役17年の一審判決を支持し、控訴を棄却した。

加重逃走や逃走中の窃盗のほかに、逃走前に起訴されていた住居侵入や強制性交、窃盗など21件の罪に問われた樋田被告だが、一審の大阪地裁堺支部はうち20件を有罪としていた。

被告は、強制性交や窃盗は「ヨダソウマ」なる人物の犯行で、逮捕やその後の捜査で採用された証拠は違法なものだと主張。加重逃走についても、逃走自体は認める一方で、アクリル板を破壊した者は第三者であり、より罪の軽い単純逃走罪にとどまるとして、懲役17年は重すぎると訴えた。

裁判長が「判決を言い渡します」と話すと、被告は無言で右手を挙手。被告に変わって発言を認められた弁護人が「被告人自筆の意見書の内容を検討いただいたのか。法律違反の論点を考慮して判決を出したのか」と代弁したが、被告は自ら質問したかったのか不満げだった。

高裁は「原審手続きに法令違反はない」と認定。加重逃走についても「第三者の関与は考えがたい」として、被告側の控訴を棄却した。

法廷では、スーツ姿の被告に9人の刑務官が付き添った。逃走実績があるからか、これまでの公判でも多くの刑務官が厳重マークしてきたが、スーツの上にベストを着せられ、手錠、腰縄を着用して入廷。公判中も左右、前後、法廷内の角から〝監視〟される異様な雰囲気だった。

閉廷後は、裁判長から退廷を促されることもなく、多くの傍聴人が刑務官に再び手錠、腰縄をつけられる樋田被告の姿を見つめ、一部の傍聴人からは「刑務所の塀に穴掘って、また逃走しよるで」との声が上がった。

弁護人は上告について「まだ意思が未確認です」と話すにとどめた。

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