日本ハムOB・田中幸雄氏 恩人・大島さん訃報に「ファイターズに来ていただいて野球人生変わった」

田中幸雄氏

沈痛の様子だった。現役時代に「ミスターファイターズ」と呼ばれた日本ハムOB・田中幸雄氏(53)が5日、大島康徳さんの訃報を耳にし「悲しみに暮れた」ことを明かした。

プロ3年目の1988年。それまで伸び悩んでいたが、中日から移籍してきた大島さんから野球理論や打撃に関する助言を受けたことで大きな転機につながった。若手時代から食事にも何度か連れていってもらい、野球の話になるといつも止まらなくなった。大島さんが現役のユニホームを脱ぐ94年まで一緒にファイターズで7シーズンを過ごした思い出は、今も田中氏にとってかけがえのない「財産」だ。

「大島さんがファイターズに来ていただいて野球人生が変わった。いろいろと野球に対する取り組み方や姿勢を目で見ながら勉強し、本当にたくさんのことを教わった。熱い方でよくしゃべりますし、面倒見もいい方。自分にとってはプラスになることばかりでした。感謝しても感謝し切れません」

2000年から02年までは大島監督のもとでファイターズの主力としてプレー。「人一倍負けん気が強く、勝つことにとてもこだわりを持たれていた監督でした」と述べ、しみじみと振り返った。

「半年ぐらい前にお会いしたのが最後です。病気を宣告されても頑張られていて、あの時は顔色も良く、お元気そうでした。こういうコロナの時代になっていろいろと複雑な思いもあったはずでしょうが、すごく前向きに考えられていたのが印象的です。最後の最後まで一生懸命頑張られていたんだと僕は思っています。本当に心から大島さんのご冥福をお祈りいたします」

田中氏は天国へ旅立った〝恩人〟に向け、最後はゆっくりと静かな口調で追悼と感謝の言葉を結んでいた。

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