静岡県熱海市で発生した大規模な土石流に、栃木県内で起きた土砂災害の被災住民らも衝撃を受けている。県内でも近年、豪雨災害が頻発し、土砂崩れや土石流がたびたび発生している。「どこの場所でも起こりうる」「メカニズムを明らかに」。当時の鮮明な記憶をたどり、防災意識を高め、教訓を得る大切さを訴える。
「あの時も熱海と同じようだったんだろうな」。2015年9月の関東・東北豪雨で住宅地に土砂崩れが発生し、60代女性1人が亡くなった鹿沼市日吉町。自治会長の関口善治(せきぐちぜんじ)さん(70)は5日、斜面の補強工事が完了した現場を眺め、声を落とした。
女性の娘が「お母さん」と呼び続けていた姿が、今も頭に残っている。「自然を相手にするには限界がある。情報提供など被害を最小限にとどめる対策を地域で考える必要がある」と力を込めた。