堀田真由×須藤理彩が母娘役で、家族の愛を通して難病・NMOSDを伝えるショートフィルムが公開

中外製薬株式会社は、主演に堀田真由を迎え、視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)の啓発を目的としたショートフィルム「あの子を連れて旅に出たら、わからないことを分かりたくなった話」を制作。7月中旬の公式YouTube(https://www.youtube.com/user/chugaijp)での配信に先駆けて、柳明奈監督と原作者・岸田奈美氏が、制作記者会見をオンラインで実施した。

NMOSDは患者の約9割が女性であり、日本における患者数は約4300人と報告されている指定難病。視力の低下や感覚障害、倦怠感などを感じる自己免疫疾患だが、なかなか知られていないのが実情だ。今回のショートフィルムは、この疾患をより多くの人に知ってもらうことを目的に制作されており、主演の堀田に加え、母親役に須藤理彩、主人公の彼氏役で松岡広大が出演。家族愛をテーマに、病気の特長や患者の状況を描く。

1年前にNMOSDを発症した母親・郁子(須藤)と大学生の娘・美月(堀田)のもとに、ある日、親戚から贈り物が届く。それをきっかけに、美月の彼氏・陽一(松岡)も巻き込んで出かけた1日を通して、うまくいっていなかった母娘関係に変化が訪れるというストーリー。

原作の岸田氏はこれまで、障害のある自身の家族のエピソードをエッセーにして伝えてきたことで注目された作家。今作を手掛けるにあたって、「障害や病気について、相手には『分からない』という壁があり、それをどう伝えるかを考えて、みんなが分かる“感情”を通して、病気を伝えようと思いました」と作成秘話を披露。

それを受けて脚本も担当した柳監督は「原作を読んで、最初は不安で難しいと感じましたが、岸田さんの考え方、生き方に影響を受けて、岸田さんの愛のある言葉を一つもこぼれないように拾い集めることに注力して表現するように努めました。“岸田節”を入れられたと思います」と自信をのぞかせた。

また、主演の堀田について、柳監督は「映画『虹色デイズ』(2018年)で初めて知って、ほれ込んでしまって。かわいいなと。今回の美月という役は、少し強い役なんですが、撮影を通じて堀田さんの中に心(しん)の強さを感じました。特にラストシーンの歩く場面では、その時のまなざし、動きに美しいなって思う強さがありました」と絶賛。

岸田氏も「堀田さんの演技を見て、応援したくなりました。結末を知っているんですけど、見守りたくなりました。作品の中で、堀田さん自身が成長を見せてくれたと思いますし、私自身も堀田さんの演技で成長することができました」と喜びを明かした。

さらに、会見では出演者からのメッセージも公開。母親が病気を発症して以来、親子の関係に悩む主人公の大学生・美月役を務めた堀田は、脚本を読んで「普段、近いからこそ言えないこととか、たくさんあると思うんですけど、大切なことを気付かせてくれる脚本で、とてもユニークだと思いました。美月はモノローグという心の声が多いんですが、私自身も心の声が多い方だと思うんです。思ったことをなかなかうまく伝えられなかったり、ふと線が切れた時に『あ、言ってしまった!』となるのは美月と重なるなと思いました」と役との共通点を明かし、「これまでも、社会的なテーマの作品、家族の形みたいなものを演じたり、病気を扱う作品に出演してきましたが、中外製薬さんからこの病気が、その症状を分かってもらえないのがつらいということをお聞きして、この映像を通して深い部分まで知るきっかけになるといいな、家族の在り方を考えるきっかけになればうれしいなと思っています」と今作への思いを語った。

また、NMOSD患者の母を演じた須藤は、「テンポよく進む中で、実際にその一言に重みがあることを、脚本を読むたびに気付かされました。家族だから、大切に思っているからこそ、迷惑をかけられない。じゃあ、家族は言ってほしいのに、大丈夫と言われて助けさせてもらえない。その距離感は言葉に出さなきゃ分からない。近しい人ほど、言葉って大切なものだなと実感しました」とコメントを寄せた。

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