ロッテの“精神的支柱” ベテラン・鳥谷を今季初めて登録抹消した井口監督の胸中

再調整となったロッテ・鳥谷

混パを抜け出す意気込みの表れか。ロッテの鳥谷敬内野手(40)が6日に一軍登録を抹消された。

プロ18年目のべテランは今季開幕から一軍帯同も打撃成績は出場32試合で打率1割7分、0本、2打点と低迷。この不振もあってか6月6日DeNA戦でのスタメン出場を最後に出場機会がなかった。

井口監督は6日のソフトバンク戦前に今回の抹消について言及。「昨日(本人と)話して。こちらの事情でなかなか試合には出られなかったんですけど、その中で調子をもう一回上げてもらうことと、勝つためにはやっぱり彼の力も必要なので。下(二軍)で試合に数多く出て調子を上げてほしいということで、今日からファームに行っています」と抹消の経緯を説明した。

とはいえ、指揮官は鳥谷のロッテ入り以来、たとえ不調であっても「ベンチの精神的支柱」を理由に、コロナ禍以外では二軍落ちさせなかった。それがなぜ今、苦渋の決断を下したのか。背景には井口監督の今季への思いが見え隠れする。

ロッテは6日現在、2位とはいえ、パ・リーグは現在最下位の日本ハムを除き5チームが混戦状態。1日でAクラスからBクラスに転落することも珍しくない。そんな激戦下では、ベンチ内のあらゆる選手を駆使して白星をもぎ取る必要がある。ベンチ枠は一つも無駄にできず、若手の手本である鳥谷と言えども戦力でなければ入れ替える。この勝利へのこだわりこそが今回の判断の要因だろう。

これまでは「恩情」とも取れるベテランや若手有望株の積極起用も見受けられたロッテだが、ここにきて厳しさを増す井口監督の采配ぶり。今回の鳥谷の一件から指揮官の今季にかける本気度がうかがえる。

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