【東京五輪】米専門家がIOC批判「最悪ならパンデミック加速の世界記録樹立」

“世界記録”に危惧の声

東京五輪での適切な新型コロナウイルス感染防止対策を繰り返し訴える米国の専門家らが、国際オリンピック委員会(IOC)と組織委員会に、「まだわからぬか!」とばかりに13の質問を突きつけた。

公衆衛生の専門家であるアニー・スパロー博士とリサ・ブロッソー博士は、米サイト「HILL」に「新型コロナウイルスのリスクに関する未回答の質問」を寄稿した。五輪が近づいても、最悪の事態を回避する重要な予防策をIOCは講じていないと指摘。「密接な接触の可能性があるすべての人に対して毎日PCRテストが行われないのはなぜか?」「IOCは、新しい変異株、特にデルタ変異株を考慮し、選手村と会場をどのようにアップデートしているか?」など13項目の質問を投げかけた。

また、競技におけるコロナのリスク評価が不十分な点についても言及。「レスリングは重量挙げよりも危険。ボクシングはバドミントンよりも危険。フェンシングの金メダリストであるIOCのトーマス・バッハ博士(会長)は、フェンシング選手は陸上選手よりウイルスを広げるリスクがはるかに高いことを理解する必要があります」と、理解不十分なバッハ会長を皮肉った。

両博士は、何事もなく大会を終えることを最良のシナリオとした一方、最悪のシナリオを「世界的なメガスプレッダーイベントになり、パンデミックの加速で世界記録を樹立」と表現している。

高名な学者が繰り返し適切な対策強化を訴えているが、もはや馬の耳に念仏なのかもしれない。

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