〝解任報道〟タイ代表・西野朗監督を直撃「ネガティブ報道があるのは当然」

聖火リレーを走り終えた西野朗監督

タイ代表の西野朗監督(66)が7日、埼玉・熊谷市で行われた東京五輪の聖火リレーに参加した。無事に走り終えると「地元(埼玉)で走れて感無量です。とにかくアスリートにエールを送りたい思いで走りました」と汗をぬぐった。

西野監督といえば、先ごろ海外メディアで契約解除が確実になったと伝えられた。聖火リレー終了後、改めて本紙が事実関係を問うと「タイ協会としての決定はまだ受けていない。これから大会の検証をしたり、分析した上で(去就を)伝えるということ。それが事実です」と報道を否定した。また、タイ協会が「連絡が取れない状態」との報道もあったが「パーンと出てきちゃったわけじゃなくて、ちゃんとダイレクトに理由を伝えてドバイから戻らせてもらって。それは承知していると思います」と説明した。

西野監督は2018年ロシアW杯で日本代表をベスト16に導いた後、19年7月にタイ代表監督に就任。当初から「日本に何とか立ち向かいたい」と〝打倒ニッポン〟を旗印に掲げて異国の地で奮闘してきた。しかし、2022年カタールW杯アジア2次予選でインドネシアにドロー、UAE、マレーシアに敗れ、グループ4位で敗退。アジア最終予選進出を逃したことが〝解任報道〟の引き金となったが、その事実も西野監督はしっかり受け止めている。

「最大の目標が次のW杯だった。期待されていたので、そういうネガティブ報道があるのは当然でしょう。いろんなところから賛否もあると思う」

ただ、自身の長いキャリアでも、この2年間はかつてない刺激的な経験を味わった。異国の地での挑戦を振り返り「今までやっていなかった海外のチャレンジ。日本だけでなくアジアサッカーの発展を自分の目標としてやってきました。今後もそういう思いを胸に、アジア、世界をスタンダードに自分の仕事を考えていきたい」と語った。

今後は20日にタイに戻る予定。帰り際、「次の野望は?」と問うと、ニッコリ笑って「海外チャレンジができて、また燃えるものをもらったって感じだね」。晴れやかな表情の中にも覚悟が垣間見えた。

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