“サイン盗み疑惑”の雑音払しょく! 阪神・佐藤輝が20号本塁打で示した「真価」

快音で雑音を払しょくし虎党を歓喜させた佐藤輝(右)

阪神・佐藤輝明内野手(22)が7日のヤクルト戦(神宮)の4回に20号2ランをマーク。6月23日の中日戦(バンテリン)以来、実に12戦ぶりとなるアーチで大台に到達した。前日6日の同戦ではヤクルト側から「サイン盗み疑惑」を指摘され、両軍ベンチから怒号が飛び交う後味の悪い一戦に。佐藤輝自身にも〝風評被害〟が及ぶ恐れすらあったが、この日の一撃で自身の真価を証明した格好だ。

2―4と2点を追う4回無死一塁。この日2度目の打席に入った佐藤輝は、相手投手・高梨のフォークを逃すことなく一閃。打った瞬間それと分かる強烈な打球は、右翼席へ着弾。NPBの新人左打者としては歴代最多となる大下弘(1946年、セネターズ)の記録に並ぶ大台到達で虎党たちを歓喜させた。

試合後「しっかり自分のバッティングに集中した結果」と会心の一打を振り返った背番号8だが、久々の本塁打を打った喜びよりも4―6で接戦を落とした悔しさの方が勝る。続く5回二死満塁の第3打席で空振り三振に終わったことを反省点として挙げ「もう一本打てないと…。あと一本を打てば勝てる試合だった。自分の反省点として明日以降やっていきたい」と敗戦の責を背負い込み球場を後にした。

前夜の同戦では5回二死一、二塁の佐藤輝の打席で、二走・近本の動作が「(佐藤輝に)投球コースを伝達しているように見える」とヤクルト側が指摘。これに矢野監督ら阪神首脳陣が激怒し「絶対やってへんわボケ! アホ!」などの怒号が飛び交う後味の悪い一戦となってしまった。

球界内外で大きな話題となってしまったこの一幕について球団OBは「表沙汰になったもの、ならなかったものも含め、この手の行為は残念ながらプロ野球ではよくあること。でも近本のアレに関しては絶対に伝達行為なんかじゃないよ。プロが一軍の舞台であんなに原始的であからさまな行為をするわけがない」と後輩たちを擁護する。

だが、その後の阪神ベンチの対応には大いに注文があるようで「ボケとかアホとかテレビでも聞き取れるような大声で相手チームを罵倒するような矢野監督たちのやり方は絶対に良くなかった。(最初に伝達行為を指摘した)21歳の村上に対して大人げなさすぎるし、あそこまで感情をあらわにすると周囲からは『図星を突かれて逆上したのかな』的な勘繰りまでされてしまうよ」とし「あれじゃあ打席に入っていた佐藤輝まで『これまではサイン盗みの恩恵を受けていたのだな』と周りから思われてしまう。得点圏打率の高いサンズやマルテも同様だよね。彼らからすれば本当にいい迷惑だよ」と佐藤輝にまで〝風評被害〟が及ぶ可能性もあると指摘した。

だが当の佐藤輝は〝疑惑の試合〟から一夜明けたこの日、見事なアーチで自身の真価を証明。余計な雑音まで一気に封じたその姿は、やはりさすがの一言に尽きる。

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