苗木生産で林福連携 南那珂森林組合×SQOL

苗木生産の作業を行うSQOLの利用者ら

 循環型林業に力を入れる南那珂森林組合(井上文利組合長)は、本年度からスギの苗木生産へ本格的に乗り出した。一部の作業に障害者就労支援事業所「SQOL(スコール)」(武田秀人代表)の利用者を活用し、林業における労働力不足の解消、障害者の働く場の創出につなげる「林福連携」の取り組みを実践していく。
 同組合は、県内で年々再造林面積が増大する中、苗木の安定供給への懸念があることから、生産に乗り出すことに。昨年10月から串間市大平の約2万8千平方メートルを整備、今年1月に苗木を管理するハウス3棟が完成した。年間5万4千本の生産を見込む。
 昨年12月、同組合が「新たに働く場になれば」と、地元で知的、精神障害者らの就労訓練を行うSQOLに協力を打診。SQOLは「労働環境や工賃も良く、利用者が一般の方とコミュニケーションを取る機会になればうれしい」と快諾したという。
 利用者が担うのは培土とスギの挿し穂を樹脂シートで直径約5センチの筒状に丸め、専用トレーに並べる作業で、時給550円。暑くなる6月中旬~10月中旬以外の期間に取り組む。
 4月に始まった作業では、利用者が5人一組の交代制で従事。同組合職員のアドバイスを聞きながら、黙々と作業に打ち込んだ。仕事帰りの車内では丸めた本数を楽しそうに競い合う姿も見られたという。苗木はハウス内で1年間管理し、市内の山に植林する。
 武田代表(39)は「利用者さんもやりがいを持って作業に当たっており、大変ありがたい」。井上組合長(59)は「福祉と林業が連携できる素晴らしい取り組み。今後も事業を継続させるために研さんし、一緒に頑張っていきたい」と話している。

© 株式会社宮崎日日新聞社