巨人〝54イニング適時打なし〟の深刻度 原監督に打つ手はあるか 

降雨コールド負けを受け入れた原監督だが…

2021年型最強打線が完成するのは――。巨人は9日の阪神との首位対決(甲子園)に7回途中、雨天コールドのため1―4で敗れた。序盤の拙守連発が響き、両リーグトップの105本塁打をマークする打線も「タイムリー欠乏症」から脱却できず、54イニング連続で適時打なしとなった。この〝一発打線〟を原辰徳監督(62)はどう操るのか、決断が注目されている。

突如降り出した大雨に、今カードでの首位奪取も夢散した。球審がコールドを宣告すると、ベンチの原監督は両手を広げて「WHY」ポーズ。4月6日の同戦の再現VTRを見るかのような結末となり、指揮官は「まあ、致し方ないところでしょうな。こちらの仕掛けがやや遅かった」と悔しさを押し殺した。

3回にウィーラー、坂本の連続失策から2点を献上。3点差を追う7回に連打で無死二、三塁のチャンスを作ったが、反撃は無情にも悪天候に阻まれた。

それにしても〝あと一本〟が出ない。タイムリーが飛び出したのは、1日の広島戦(東京ドーム)の6回が最後。そこから得点は本塁打と相手の失策などによるものだ。この日の得点もウィーラーの9号ソロ一発に終わり、得点力不足にも直面しつつある。

タイムリーが途絶えた3日のDeNA戦(神宮)からこの日までの戦績を振り返ると2勝4敗。得点は3点、2点、2点、3点、0点、1点で1試合平均1・8点にとどまっている。7日からは上位打線を梶谷、坂本、丸、岡本和の主力で固める並びに変更したが、まだ本領発揮とまではいかないようだ。

これには球団内の見方も二分。「本塁打でも適時打でも1点は1点」とする声がある一方で「本塁打が出ることに一切の不満はないが、毎試合打てるとは限らない。やはり打線につながりが出ないと大量得点は見込めない」との意見もある。

昨オフの原監督は今季の一大テーマの一つに「落ち着いた野球」を掲げた。日替わりで打線を組まなくて済むほど、ずぬけた戦力の台頭を求めてのものだった。実際には故障者の離脱やスモークの退団などで至難の業となったが、81試合を消化しても〝最適解〟を見い出せないのが実情だろう。

原監督はもう一度、何らかのカンフル剤を投入するのか。それとも、7回のウィーラーと松原の連打が〝呪縛〟を解く呼び水となるのか。もちろん正解が分かれば苦労しないが、元木ヘッドコーチは「2人にようやく(安打が)出てきたからね。いい感じだったんだけど」と語った。

阪神とは3・5ゲーム差に広がり、前半戦は残り4試合。後半戦に向けても攻撃の基盤を整えたいところだ。

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