巨人が「対阪神」だけに集中できない実情… 首位猛追の足かせになりそうな“急所”とは?

巨人・原辰徳監督【写真:荒川祐史】

首位攻防の第1Rは降雨コールドで敗戦、3.5ゲーム差に拡大

■阪神 4ー1 巨人(9日・甲子園)

現在2位の巨人は9日、甲子園球場での阪神戦に4-1の降雨コールドで敗れた。前半戦最後の“首位攻防”第1ラウンドを落とし、3.5ゲーム差に拡大。シーズンが進むにつれて直接対決の重要度も増してくるが、前半戦を振り返ると「対阪神」だけを考えてもいられない状況も。専門家は、後半戦の“足かせ”になるかもしれない現状を指摘する。

次第に強くなった雨脚は、虎を追う身にとってはこの上なく恨めしかった。3回にウィーラーと坂本の拙守をきっかけに2失点。5回にウィーラーが汚名返上のソロを放って1点差に迫るも、直後に先発の戸郷が近本に中前適時打を浴びて再び2点差となった。6回には先頭のマルテにソロを被弾して3点ビハインドに。7回の攻撃で無死二、三塁のチャンスを作ったが、ここで降雨中断。グラウンドには水たまりができ、そのままコールドとなった。原監督を含め巨人ベンチは納得のいかない表情を見せたが、天気には勝てなかった。

6~8日の中日3連戦を負け越し、乗り込んだ敵地。「ちょっと全体的にシュンとしている感じはしましたかね。選手にとっては最もしんどい時期ですし、集中力を欠くこともある」。現役時代にヤクルトや日本ハム、阪神、横浜(現DeNA)で捕手として計21年間活躍した野口寿浩氏は、前カードの影響も少しは加味する。

最下位広島には貯金1、4位中日とは五分の戦いで“取りこぼし”

6月に8連勝するなど一気に首位を視界に捉えたが、7月は現状で3勝4敗。東京五輪の中断期間が迫る中、踏ん張りどころを迎えている。「伝統の一戦」は6勝7敗と黒星が先行したが、野口氏は“対阪神”以外にも目を向けている。

「下位のチームには申し訳ないですが、巨人は前半戦の取りこぼしが多い。シーズンの最終盤を迎えたときに『あの負けが痛かったなぁ』となりかねない状況です」

球団別の対戦成績を見てみると、最下位の広島には7勝6敗1分で勝ち越しは1つのみ。5位のDeNAには8勝1敗3分と大きく貯金を作っているが、4位の中日とは6勝6敗2分の五分。阪神は現状で全5球団に勝ち越している状況なだけに、そのまま“差”として出てくる可能性もある。

後半戦へのポイントのひとつになりそうなのが、中断期間の活用法。野口氏は「巨人は不思議な負けが多い。苦手チームに対し、何でやられているのかという対策を練り直す必要があるかもしれません」と見据える。虎の首根っこに噛みつき、置き去りにできるか――。竜や鯉との戦いにも、心血を注ぐ必要がある。(Full-Count編集部)

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