「佐藤輝より大山が心配」 独走態勢から急ブレーキの阪神、主砲の不振の原因は?

阪神・大山悠輔【写真:荒川祐史】

主将で4番・大山、背中の張り経て復帰後は打撃が低迷

独走態勢に入るかと思われた阪神が苦戦を強いられている。27日の本拠地・甲子園球場で行われたDeNA戦では3-8で敗れ、今季初の同一カード3連敗。2位・巨人に2.5ゲーム差と迫られた。一時は3位の巨人に8ゲームの大差をつけていた猛虎に、急ブレーキがかかったのはなぜか。現役時代にヤクルト、日本ハム、阪神、横浜(現DeNA)で捕手として計21年間活躍した野口寿浩氏が分析した。

最下位のDeNAにまさかの3タテを食らった阪神。特に打線が3試合で4得点と振るわなかった。黄金ルーキー・佐藤輝明内野手はこの日、8回の第4打席に右翼線へ二塁打を放ったが、これが16打席ぶりのヒットだった。

野口氏は「あらゆることが初体験の佐藤輝は、全てが勉強。好不調の波があるのは当然で、安定した成績を求めるのは酷でしょう」と論評。一方で「心配なのは主将で4番の大山。阪神の得点力は、彼が打てるかどうかにかかっている部分が大きいですから」と見た。

大山は2点を追う1回、1死一、三塁の得点機で第1打席に入ったが、DeNA先発・大貫にカウント3-2から外角低めのスライダーを振らされ三振。6点ビハインドの5回には、近本、糸原、マルテの3連続二塁打で2点を返したあとを受け1死二塁で第3打席を迎えるも、やはり外角のスライダーをバットの先でとらえるのが精いっぱいで一飛。結局5打数ノーヒットに終わった。

「テレビ中継のセンターカメラからの映像を見ていれば、一目瞭然」

今季開幕から4番を務めている大山だが、背中の張りを訴え5月6日に抹消。同25日に復帰するまで19日間を要した。離脱前の31試合では打率.291(117打数34安打)、5本塁打をマークしていたが、復帰後は27試合で.219(105打数23安打)3本塁打と低迷している。

野口氏は「テレビ中継のセンターカメラからの映像を見ていれば、一目瞭然です」と断言。「大山が打ちにいく際、背番号3がはっきり見える。いわゆる“左肩が内側に入り過ぎている”状態で、右中間へ向いて打っている格好です。バットが遠回りする分、速球には差し込まれ、変化球には途中で止められない」と指摘する。

「打撃を修正する過程で、意図的にやっているのであればまだ良いのですが、体の開きが早いのを修正しようとして肩を入れて構えた場合、逆に開きが早くなってしまうケースが多いので、やはり心配です」と続けた。

30日からは相手が3位のヤクルトに変わる。大山にとっては対戦打率.333(24打数8安打)と最も相性のいい相手だ。自ら復調のきっかけをつかみ、チームを再び上昇気流に乗せることができるだろうか。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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