WRC後半戦がエストニアで開催。今季6勝目を狙うトヨタのラトバラ代表「今回はスピード勝負」

 WRC世界ラリー選手権に参戦しているTOYOTA GAZOO Racing WRTは、7月15~18日に開催される2021年シーズン第7戦『ラリー・エストニア』にトヨタ・ヤリスWRCを駆るセバスチャン・オジエ、エルフィン・エバンス、カッレ・ロバンペラの3台体制で挑み、選手権ポイントのリードをさらに広げるべく今季6勝目を目指す。

 また、前戦ケニアで総合2位表彰台獲得の快挙を果たした勝田貴元も、引き続きTOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの下、トヨタ・ヤリスWRCで最高峰クラスに参戦する。

 WRCイベントとして19年ぶりに開催された第6戦『サファリ・ラリー・ケニア』で、オジエが今季4勝目、勝田が2位表彰台を獲得したことで、今季4度目のワン・ツー・フィニッシュを飾ったトヨタ。ドライバーとマニュファクチャラー、両選手権でライバルをリードするチームは、シーズン後半戦の初戦となるエストニアで成功を収め、さらにその差を広げにかかる。

 そのラリー・エストニアは昨シーズン、初めてWRCのカレンダーに組み込まれた高速グラベル(未舗装路)ラリーだ。エストニア第2の都市であるタルトゥにラリーの拠点が置かれる今戦のステージの性格は、同じく高速ラリーのフィンランドと似ておりクレスト(丘)やジャンプも存在する。

 一方、フィンランドと比較して道幅が狭く、ツイスティでテクニカルなセクションも少なくないのがラリー・エストニアの特徴のひとつ。また、路面が全体的に軟らかいため、同じステージを2回目に走行する際には深い轍が刻まれることもあり再走時には注意が必要となる。

 競技は木曜日のスーパーSS(SS1)でスタートし、翌16日(金)のSS2から本格的なグラベルラリーが展開されていく。デイ3では新しいステージも登場予定だ。最終日の18日(日)はサービスを挟まずに6本のステージで争われるが、その中の最終ステージ(SS18)はトップ5タイムを記録したドライバーととマニュファクチャラーにボーナスポイントが与えられる“パワーステージ”となっている。

 全18本のSSの合計距離は前年比約80km増の314.16km、リエゾン(移動区間)を含めた4日間の総走行距離は1299.25kmだ。

「エストニアは簡単には勝てないラリーだ」と語るのは、ケニアで早くも今季4勝目を挙げ、ドライバー選手権で2位のエバンス34ポイントリードするオジエ。

「とくに出走順がトップの場合はなおさらだが、多くのポイントを獲得し続けるためベストを尽くして臨むつもりだ」

WRC第6戦ケニアで今季4勝目を飾ったセバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)

■「相性が良くなかった、テクニカルな区間でのパフォーマンス向上に集中して取り組んだ」とラトバラ

 チームメイトのエバンスは、「基本的にトヨタ・ヤリスWRCはハイスピードなセクションではとても速いが、昨年のエストニアでは100%の仕上がりではない部分もあった」と述べ、「ラリー前のテストでは可能な限りクルマを改善し、できる限りの準備を行った」と続けた。

 速さを見せながらも第3戦以降、トラブルやアクシデントに見舞われ続けているロバンペラは高速ラリーを得意としている。

「エストニアのような高速ラリーは以前から好きだよ」と20歳のロバンペラ。

「バルト諸国のラリーには何度も出場経験があるが、フィンランドと同じように高速で流れるような道が多く、自分にとても合っていると思う。また、ヤリスWRCもそういった道が得意なんだ」

 就任1年目のシーズンから好結果を残しているヤリ-マティ・ラトバラ代表は、「ここまでのところ、我々は非常に好調だが、シーズン後半戦も同じように好調を維持しなくてはならない」と気を引き締める。

「ラリー・エストニアは、ケニアとは大きく異なるチャレンジであり、今回はスピード勝負だ。勝つのは簡単ではないが、今回も上位を狙えると期待しているよ」

「エストニアに向けたテストでは、昨年あまり相性が良くなかった道幅が狭くテクニカルな道でのパフォーマンス向上に集中して取り組んだ。それについては改善がなされたと思う」

「我々のドライバーたちは、全員が良い結果を得るべくハングリーな気持ちでエストニアに臨むことだろう」

TOYOTA GAZOO Racing WRTのヤリ-マティ・ラトバラ代表
ランキング2位で僚友オジエを追うエルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)

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