上越沖と佐渡北東沖で2日からメタンハイドレートに関する調査を行っていた、独立総合研究所(独研、東京都)や東京海洋大などの調査グループが8日、直江津港に帰港した。上越沖では、これまで無かった海底の潮流データを収集した。また佐渡北東沖で200カ所ものメタンの粒の集まり(プルーム)を確認した。
帰港後、独研の青山千春社長(東京海洋大特任准教授)が取材に応じた。上越沖では、直江津港の北北西約40キロに位置する「海鷹海脚」の海底(水深約900メートル)にADCP(流向流速を計測する機器)を設置し、潮流を計測。その結果、調査期間中の潮の流れは1秒間に1センチ程度だったことが分かった。同研究所や民間企業は、上越沖などに見られる「表層型メタンハイドレート」の採掘に膜状の構造物を利用することを検討しており、潮流は構造物の固定を検討するのに重要なデータになる。
佐渡北東沖では、弾崎の東約30キロの7キロ四方(水深150~450メートル)内約200カ所で、メタンプルームを確認したという。
青山社長は「上越沖の潮流調査で、(海底に)ほとんど流れがなく、膜状の構造物を設置して(メタンハイドレートを)回収しやすいことが分かった。今後は潮の満ち引きが潮流に与える影響を調べたい」と話した。
青山社長は12月に開かれる予定の国際学会で、調査結果を報告することにしている。