【プロキオンS】伏兵メイショウカズサがレコードV 頭打ちの成績から激変した理由

際立つ伸び脚を繰り出し、レコードで圧勝したメイショウカズサ(左)

レース創設以来初めて小倉競馬場で行われた11日のGⅢ第26回プロキオンS(ダ1700メートル)は、9番人気の伏兵メイショウカズサ(牡4・安達)がV。コースレコード&JRAタイレコードとなる1分40秒9(重)のタイムで豪快に駆け抜けた。2、3着にも人気薄が入り大波乱決着となったこのレース。オープン昇級後は頭打ちとも言える成績から一変してみせた勝ち馬の激変のワケを探る。

直前から降りだした雨は各馬がゲートインするころにはさらに勢いを強め、先を見通せないほどの豪雨に。雷鳴が響く不穏な天候がすでに大波乱を暗示していたのか…。

レースが動きを見せたのは3コーナー過ぎ。果敢にハナを切ったメイショウウズマサ、それに2番手からの早め進出で馬体を併せに行くトップウイナーの先行2騎が後続を引き離しにかかる。前日にレコードが2鞍マークされた小倉ダートとなれば、後方待機策では前に追いつけないのも必然。各ジョッキーとも、いつもより早めにポジションを上げていこうと試みたが…。追走でなし崩しに脚を使わされる形となり、“速すぎる”時計に伸びあぐねる馬が直線では多数見られた。

そんな状況下で降りしきる雨を切り裂くように、ただ一頭目立つ伸び脚を繰り出したのがメイショウカズサ。しぶとく粘る2、3着馬を並ぶ間もなく抜き去ると、1分40秒9という驚がくのJRAタイレコードを叩き出し、初重賞タイトルを手にした。

9番人気の低評価を覆す圧巻のレースに松山は「ようやくこの馬本来の力を発揮してくれました」としてやったりの表情。「2列目の位置となりましたが、そこで手応え良く集中力も保つことができました。気持ちの切れてしまうところのある馬ですが、最後までしっかりと走り切ってくれました」とメンタル面が向上していたことに加え、「こういう馬場は得意だと思っていましたし、小倉コースでも結果を出しているので、馬の力を信じて騎乗しました」と舞台設定もバッチリ合っていたことを勝因に挙げた。

もともと昨年6月の未勝利戦から4連勝でオープンまで一気に出世を果たした好素材。ネックは、その全てが逃げ切りか早め先頭というモマれない形での競馬であり、ポジション取りがタイトになるオープンではそこが命取りになると思われたが…。「先行馬が多くてどういう展開になるかと思っていたんですが、今日は逃げない形でも競馬ができましたね。ジョッキーがうまく乗ってくれたことに尽きると思います」と安達調教師は鞍上の好判断&馬への信頼によって新たな一面を発揮できたことを喜んだ。

スコールと雷鳴という特殊な状況に置かれても、冷静さを失うことなく臨んだ人馬が手にした新境地。これからメイショウカズサの快進撃が再び始まるかもしれない。

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