国内最大級「鳥脚類恐竜の化石」判明 長崎で発掘、新種の可能性も

手前が実物、奥はレプリカ。研究者らが12日、田上富久市長に報告した。2足歩行または4足歩行で植物を食べる恐竜「鳥脚類」の肩甲骨としては国内最大級 =同市役所

 長崎市教委と福井県立恐竜博物館は12日、長崎市南部の8100万年前(後期白亜紀)の地層から見つかった化石が、国内最大級の鳥脚類恐竜ハドロサウルス上科の左肩甲骨と判明したと発表した。長さ90センチ、幅20センチのほぼ完全な状態で、個体の全長は推定約9メートル。国内で見つかった同類の肩甲骨としても最大級という。
 市教委と同館は2013年から共同調査を続け、16年5月に同市野母崎地区の地層「三ツ瀬層」で一部が露出した化石を発見。17年10月に発掘し、同館で修復・復元作業を続けていた。
 鳥脚類は2足または4足で歩行する植物食恐竜。形状の特徴から、同類の代表的グループであるハドロサウルス上科と判明。一方で具体的な種は特定できていない。

ハドロサウルス上科のイメージ(長崎市教委・福井県立恐竜博物館提供)

 市役所で12日会見した同館の柴田正輝主任研究員は「今回の化石には、国内で既に発見されたハドロサウルスの骨にはない特徴も見られる」と説明し、今後の調査で「新種と判明する可能性もある」との見解を示した。
 野母崎地区のある長崎半島では過去にも、ハドロサウルス上科の大腿(だいたい)骨や歯などの化石が見つかっており、後期白亜紀の長崎には恐竜が群れで生息していたのが分かるという。
 肩甲骨の化石レプリカは▽16~27日、市役所本館▽29日~9月5日、市立図書館(興善町)▽9月10日~10月31日、市科学館(油木町)-で一般公開する。10月29日に開館する市恐竜博物館(野母町)でも実物かレプリカの常設展示を予定している。

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