椎名誠が古今東西200冊以上の遭難・漂流本蔵書から厳選『漂流者は何を食べていたか』刊行!

旅好きの椎名誠は、 本屋(新刊、 古本)が大好き。 講演や取材で地方に出かけると、 決まって時間を作って地元の書店をおとずれるそうだ。 郷土本コーナーや古本屋の片隅で、 見たこともない「漂流記、 遭難記」を手にした時は、 それはもう狂喜乱舞。 そうして、 集めたコレクションが自宅の書庫に収められているのだが、 なぜか今まで「丸ごと1冊、 漂流記」という本を書いたことがなかった。 「そうか、 『生還した漂流者は何を食べていたのか』というテーマはありだな。 いや、 オレしか書けないだろう、 オレが書くべきだ」と、 新宿の飲み屋でつぶやいたことで、 小説新潮の連載が始まり、 ついにこの夏、 書籍化。 ・もし海で遭難してしまったら、 まず何をしたらいいのか? ・数少ない荷物は何に、 どう使えばいいのか? ・助けが来るまで飢えずにいられる方法はある? 残された食べ物はわずか。 飲み水もない。 彼らはどうやって生き延びたのか。ウミガメをさばき、 海鳥を手掴みし、 シロクマと闘い、 ペンギンを刺身で喰らう。 運と知恵、 最後まであきらめない意思が命をつなぐ━━数々のエピソードとともに実用的な「先人の知恵」も多数紹介。

ヒリヒリ、 ハラハラの15冊のほんの一部から

▼『117日間死の漂流』(モーリスベイリーなど、 講談社)。 イギリス人夫妻の乗るヨットがクジラに衝突。 救命ボートで漂流する。 初めてウミガメを生で食べたのが10日目。 安全ピンを釣り針に改良。 奥さんはサメも手掴みで捕らえたが……手に汗握る記録。 ▼『北槎聞略』(桂川甫周)。 船頭・大黒屋光太夫率いる16人が仙石船で漂流するもアリューシャン列島に漂着。 がそこはさいはての地。 結局、 犠牲者を出しながら10年も厳寒の地を流浪することになる。 やがてロシア人たちと一緒に船を作り脱出。 ラッコ、 アザラシ、 トドなどを積み込む。 結局、 13人が壊血病で死亡。 シーナさんは実際にこの地を取材で訪れ、 その旅がいかにすさまじいか身をもって体験する。 ▼『大西洋漂流76日間』(S・キャラハン、 早川書房)。 シーナさんお気に入りの本。 漂流者は次々に起こる苦難と戦い続ける。 落ち込んでいる暇もないくらい、 諦めず、 工夫をし、 生き延びていく。 感動的なのは手作りの真水精製装置。 シイラとの闘いは、 まるで狩猟民族のよう。 干し葡萄を醗酵させたり、 魚を干したり、 頭と体力の限りを尽くして生き延びる感動の一作。 ▼その他、 テキストとなった本。 『荒海からの生還』『奇跡の生還〈ローズ・ノエル〉号119日間の漂流』『日本人漂流記』『パパーニンの北極漂流日記 氷盤上の生活』『フラム号漂流記』『エンデュアランス号漂流』『凍える海 極寒を24ヶ月間生き抜いた男たち』『コロンブスそっくりそのまま航海記』『コン・ティキ号探検記』『無人島に生きる十六人』『竹筏ヤム号漂流記 ルーツをさぐって2300キロ』など。

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