スーパークレイジー君 戸田市議“当選無効”取り消しの提訴で「居住実態規定」に一石投じる

会見するスーパークレイジー君

埼玉県選挙管理委員会から当選無効が言い渡された戸田市議のスーパークレイジー君(34)が14日、裁決の取り消しを求めて東京高裁に提訴した。

戸田市議選に当選したクレイジー君は、公選法で定める3か月以上の居住実態を満たしていなかったとして、市選管から当選無効とされた。県選管に不服申し立てしたものの棄却され、争いは司法の場に移った。

市、県選管ともにクレイジー君や関係者を聴取し、水道や電気使用量、周辺住民の聞き込みなどの調査を行ったものの、決定的な材料はないままクロ判定となっていた。一方、クレイジー君もシロを証明する手立てがなく、「24時間部屋の中を撮影しておけばよかったのか」とお手上げ状態だった。

弁護団の浅川拓也弁護士は「(県選管の裁決は)居住実態がなかったのではないかとの記述が多かった。疑わしいという段階で、議員の地位を奪えるのか」と指摘する。

さらに公選法で規定する3か月以上の居住実態要件が違憲であるとも訴えている。居住実態は地方議員選にだけ規定され、衆院や参院選、首長選には適用されていない。

弁護団の加藤博太郎弁護士は「クレイジー君は(歌手として)イベントで全国に呼ばれ、寝泊まりし、必ずしも決まった所にいるというわけではない。現代社会において、一定の地域に住んでいるのが住民なのか」と疑問を呈す。昨今、ノマド(遊牧民)ワーカーに代表されるようにパソコンやスマホを片手に全国を転々とするライフスタイルも定着してきている。

クレイジー君はツイッターで「長距離トラック運転手の方や家にいることが少なくて仕事で日本全国を回ってる方いませんか」と地方選への出馬を呼びかけたところ、すぐさま複数の応募があったという。

加藤弁護士は「クレイジー君のような全国を回っている方は世の中にたくさんいる。そういったところについて、司法で訴えかけていきたい」と、時代に即していない居住実態の規定について一石投じる考えだ。

© 株式会社東京スポーツ新聞社