潮流発電の「スマートブイ」 長崎大と京セラが共同開発 養殖業に活用期待

長崎大と京セラが共同開発したスマートブイ。右が「垂直一体型」、左が「水平分離型」=長崎市出島町、京セラコミュニケーションシステム「長崎イノベーションラボ」

 長崎大と京セラは14日、海洋データを収集するブイに潮流発電システムを搭載して必要な電力を安定的に賄う「スマートブイ」を共同開発したと発表した。海水温などのデータは養殖業などでの活用が期待される。五島市沖で4~6月に行った試作機の実験に成功。来年度の実用化を目指す。
 海洋汚染や海水温上昇などの気象変動が社会問題となる中、海の状況を知る「海の見える化」を進めるために開発に着手。これまで安定した電力供給が障壁となっていた。潮流発電システムは太陽光や風力と違って気象の影響を受けにくい。長崎大は、低速の潮流でも発電できる「垂直一体型」とブイと水車が分離した「水平分離型」の2種類を開発。今後、多数のブイを浮かべることを想定し、いずれも低コストで小型化した。
 ブイには京セラ製の衛星利用測位システム(GPS)装置やセンサーなどを搭載。五島沖の実験では、5分おきに水温や潮流速度などのデータを送信。消費電力を上回る発電量を確保できたという。
 長崎大の海洋未来イノベーション機構長の征矢野清教授は「開発したスマートブイは未来の養殖や海洋産業の発展に欠くことができないもの」、京セラの経営推進本部IoT事業開発部の能原隆部長は「取得困難なデータを取得できるようにするのが私たちのビジネスのコンセプト。海の見える化の実現による社会貢献を目指したい」と述べた。

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