横浜市の林文子市長が15日、4選に向けて出馬すると表明した。
林氏がこれまで大切にしてきた言葉として掲げたのは「共感」。元経営者として3期12年、さまざまな人に共感を得る努力を続けたことで、市政を大きく変えたと胸を張った。一方で、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致に関しては「反対の方が多い。説明が不足している」と認め、共感を市民から得られていないことに悔しさをにじませた。
「あまり行政の世界でコミュニケーション(の大切さ)は語られません。すぐ政策の話になる」
15日の出馬会見でそう語った林氏。市政に臨む基本姿勢とするのは、自動車販売というセールスの現場で学んだ人間関係を重視する「おもてなしの精神」や「営業マインド」だった。
2009年の市長選で民主党(当時)の推薦を受けて初当選。市長就任後は、市民や職員間のコミュニケーションの大切さを説いた。原点となったのはホンダの販売店から始めた自動車セールスの仕事だった。
トップダウン型ではなく、職員の力を引き出すボトムアップ型の市政運営に腐心。保育所の待機児童問題に力を入れ、13年に待機児童「ゼロ」を達成した。
一方で、現場や周囲の声を重視する姿勢は「独自色がない」という批判を浴びた。
同年には自民、公明、民主党の推薦を受けて再選。山下ふ頭の再開発や新市庁舎移転など、東京五輪を見据えて臨海部への積極投資に大きくかじを切った。
新市庁舎については資材費や人件費の高騰などで建築費が大きく膨らみ、反対の声が根強かった。林氏は「繰り返し説明することで必要性を多くの人に理解してもらえた」として、市庁舎の完成は3期12年の成果と強調する。