設立50周年 長崎交響楽団が記念演奏会

力強い演奏を披露する長崎交響楽団=長崎市、長崎ブリックホール

 長崎市を拠点に活動する市民オーケストラ、長崎交響楽団(隆杉正和団長)の設立50周年記念演奏会が11日、長崎市茂里町の長崎ブリックホールであった。新型コロナウイルス禍で昨年開催できなかった同演奏会の振り替え公演。団員らが節目の舞台で、約600人の観客を前に力強い演奏を披露した。
 同楽団は長崎開港400周年を記念し1970年7月に設立。現団員は10~70代の男女約60人。定期演奏会や県内各地での巡回演奏に積極的に取り組み、地元の音楽文化振興に大きな役割を果たしてきた。96年には長崎市の姉妹都市、米ミネソタ州セントポール市の「セントポール・シビック・シンフォニー」と姉妹楽団提携を結び、音楽を通じた国際交流を行っている。
 フルオーケストラでの演奏会は2019年12月の定演以来、約1年半ぶり。開演前、同楽団の河野英雄理事長が「市民の皆さんの支援があって続けてこられた。長崎の歴史と共にこれからも精進していきたい」とあいさつした。
 指揮者に国際的に活躍する三河正典さんを迎え、ベートーベンの「エグモント序曲」で幕開け。モーツァルトの「ピアノ協奏曲第26番『戴冠式』」では、大村市出身のピアニスト山下賢裕さんがゲスト出演、流れるような美しい旋律を聴かせた。
 ドボルザークの「交響曲第9番『新世界より』」に続き、アンコールではJ・シュトラウスの「ラデツキー行進曲」を披露。観客はリズムに合わせて手拍子をして、会場一体で演奏を楽しんだ。
 閉演後、バイオリン奏者の川口千穂さん(53)は「50周年を祝う団員みんなの気持ちが一つになったと思う。良い演奏ができた」と語った。来場者で、市民有志でつくる長崎モーツァルト愛好会代表の梁瀬憲二さん(86)は「これだけ質の高い演奏ができる楽団が、地元にあるのは誇らしい」と感想を述べた。

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