海から「象」がきた 長崎港の歴史表現 開港450周年アートプロジェクト

象のオブジェと共にトランペットを吹きながら入港した島袋さん(中央)=長崎市常盤町、長崎水辺の森公園

 長崎開港450周年を記念したアートプロジェクト「象が海からやってくる」が14日、長崎市内であった。約300年前の象にまつわる逸話にちなみ、象のオブジェを載せた船が航行し、さまざまな文化、事物を受け入れてきた長崎港の歴史を表現した。
 沖縄県在住のアーティスト、島袋道浩さん(52)が企画。県美術館が開港450周年記念で4~6月に開いたコレクション展の関連企画だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期していた。
 長崎港では1728年、ベトナムから2頭の象が運ばれ、そのうちの1頭が将軍徳川吉宗に献上された。この歴史に触れた島袋さんは20年前に木と紙で高さ約2メートル、幅約1メートルのアジアゾウのオブジェを制作。北九州市や佐賀市など長崎街道が通る町で地域住民と歩く活動を続けてきた。
 今回は、象のオブジェを載せた小型船に、島袋さんとアーティストのレインボー岡山さん(59)が乗り込み同市小菅町を出発し、長崎水辺の森公園へ。鮮やかな水色の衣装を着たレインボーさんが船首に立ち、島袋さんが象の鳴き声をまねたトランペットを吹きながらゆっくりと同公園の運河を進んだ。作曲家の野村誠さん(52)も運河沿いで鍵盤ハーモニカを演奏し、異国情緒を演出した。
 島袋さんは「長崎港は両側に山があって美しかった。この港に面白い歴史があることを知ってほしい」と話した。
 アートプロジェクトの様子を収めた映像は、15日に県美術館で始まる展覧会「島袋道浩 二度起こること:象が海からやってくる」で公開される。

© 株式会社長崎新聞社