大谷翔平60HRへの挑戦 前半戦33HR以上の打者の後半戦は?

1998年のサミー・ソーサと並んでアメリカ国外出身選手最多となる「前半戦33本塁打」を記録した大谷翔平(エンゼルス)。シーズン60本塁打への挑戦が注目されるが、大谷はいったいどこまで数字を伸ばせるのだろうか。ちなみに、前半戦に33本塁打以上を放ったのは大谷を含めて11人(13度)。また、シーズン60本塁打以上を達成したのは過去に5人(8度)だけ。ここではこれらの選手の前半戦と後半戦の成績を振り返ってみよう。

まず、前半戦に33本以上の本塁打を放った選手の前半戦と後半戦の成績は以下の通り。

1961年 ロジャー・マリス(61本塁打)
【前半戦】83試合 打率.282 33本塁打 OPS1.036
【後半戦】78試合 打率.256 28本塁打 OPS.948

1969年 レジー・ジャクソン(47本塁打)
【前半戦】91試合 打率.287 37本塁打 OPS1.130
【後半戦】61試合 打率.258 10本塁打 OPS.859

1969年 フランク・ハワード(48本塁打)
【前半戦】100試合 打率.313 34本塁打 OPS1.040
【後半戦】61試合 打率.268 14本塁打 OPS.872

1987年 マーク・マグワイア(49本塁打)
【前半戦】80試合 打率.294 33本塁打 OPS1.075
【後半戦】71試合 打率.284 16本塁打 OPS.892

1994年 マット・ウィリアムス(43本塁打)
【前半戦】86試合 打率.251 33本塁打 OPS.895
【後半戦】26試合 打率.318 10本塁打 OPS1.021

1994年 ケン・グリフィーJr.(40本塁打)
【前半戦】87試合 打率.329 33本塁打 OPS1.105
【後半戦】24試合 打率.302 7本塁打 OPS.976

1998年 サミー・ソーサ(66本塁打)
【前半戦】83試合 打率.324 33本塁打 OPS1.051
【後半戦】76試合 打率.290 33本塁打 OPS.994

1998年 マーク・マグワイア(70本塁打)
【前半戦】80試合 打率.310 37本塁打 OPS1.252
【後半戦】75試合 打率.286 33本塁打 OPS1.189

1998年 ケン・グリフィーJr.(56本塁打)
【前半戦】88試合 打率.299 35本塁打 OPS1.061
【後半戦】73試合 打率.267 21本塁打 OPS.876

2001年 ルイス・ゴンザレス(57本塁打)
【前半戦】87試合 打率.355 35本塁打 OPS1.189
【後半戦】75試合 打率.290 22本塁打 OPS1.032

2001年 バリー・ボンズ(73本塁打)
【前半戦】81試合 打率.305 39本塁打 OPS1.314
【後半戦】72試合 打率.355 34本塁打 OPS1.455

2013年 クリス・デービス(53本塁打)
【前半戦】95試合 打率.315 37本塁打 OPS1.109
【後半戦】65試合 打率.245 16本塁打 OPS.854

2021年 大谷翔平(?本塁打)
【前半戦】84試合 打率.279 33本塁打 OPS1.062
【後半戦】???

前半戦33本塁打以上の12度のケース(大谷を除く)のうち、最終的に60本塁打をクリアしたのは4度、50本塁打をクリアしたのは7度。ジャクソンやハワードのように後半戦に急失速して50本塁打に届かなかったケースもある。1994年のウィリアムスとグリフィーJr.は後半戦に本塁打数が激減しているが、これはストライキによりシーズンが途中で終了したため。両者とも後半戦も引き続き好成績を残しており、通常通りにシーズンが開催されていれば、50本塁打のみならず60本塁打に手が届いていた可能性もある。ストライキ・イヤーの2人を除くと10度のケースのうち7度がシーズン53本塁打以上となっており、大谷もシーズン50本塁打に手が届く可能性は高そうだ。

一方、シーズン60本塁打を達成した選手の前半戦と後半戦の成績は以下の通り。

1927年 ベーブ・ルース(60本塁打)
【前半戦】78試合 打率.361 29本塁打 OPS1.246
【後半戦】73試合 打率.350 31本塁打 OPS1.271

1961年 ロジャー・マリス(61本塁打)
【前半戦】83試合 打率.282 33本塁打 OPS1.036
【後半戦】78試合 打率.256 28本塁打 OPS.948

1998年 サミー・ソーサ(66本塁打)
【前半戦】83試合 打率.324 33本塁打 OPS1.051
【後半戦】76試合 打率.290 33本塁打 OPS.994

1998年 マーク・マグワイア(70本塁打)
【前半戦】80試合 打率.310 37本塁打 OPS1.252
【後半戦】75試合 打率.286 33本塁打 OPS1.189

1999年 サミー・ソーサ(63本塁打)
【前半戦】85試合 打率.286 32本塁打 OPS.972
【後半戦】77試合 打率.291 31本塁打 OPS1.036

1999年 マーク・マグワイア(65本塁打)
【前半戦】85試合 打率.266 28本塁打 OPS1.027
【後半戦】68試合 打率.293 37本塁打 OPS1.236

2001年 サミー・ソーサ(64本塁打)
【前半戦】84試合 打率.312 29本塁打 OPS1.126
【後半戦】76試合 打率.344 35本塁打 OPS1.225

2001年 バリー・ボンズ(73本塁打)
【前半戦】81試合 打率.305 39本塁打 OPS1.314
【後半戦】72試合 打率.355 34本塁打 OPS1.455

シーズン60本塁打を達成している打者はシーズン後半戦に数字を伸ばしているケースが目立つ。これは投手の疲労や気候条件により夏場に打者有利な環境になることが影響していると考えられる。ただし、大谷は二刀流により通常の打者よりも負担が大きく、オールスター・ウィークもほとんど休養が取れなかった。よって、シーズン60本塁打への挑戦は蓄積する疲労との戦いとなるだろう。大谷への依存度が高まっているエンゼルスだが、最大限のパフォーマンスを引き出すうえで、首脳陣が大谷の疲労をしっかり管理していくことも必要になりそうだ。

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