赤木ファイル問題 佐川氏「国家公務員の個人責任ない」発言に妻・雅子さん怒り心頭

大阪地裁

「森友学園」の国有地売却問題を担当していた元財務省近畿財務局職員・赤木俊夫さん(54=当時)が、決裁文書改ざんを強制され自殺したとして、妻・雅子さん(50)が国と佐川宣寿元国税庁長官(63)に、計約1億1000万円の損害賠償を求めた訴訟の進行協議が16日、大阪地裁(中尾彰裁判長)で行われた。

国側は先月、俊夫さんが改ざんの過程を記録した〝赤木ファイル〟の写しを提出したが、原告側は原本の開示を求めた。原告側代理人によると、国側は近く地裁に提出すると応じ、裁判所が確認した上で雅子さんに伝える形になるという。

ファイルは情報セキュリティーの観点から、財務省理財局や近畿財務局の職員名など約400か所が黒塗りにされており、原告側は「俊夫さんの心理的負荷の強さを立証するため、尋問を行う必要がある」として、マスキングを外すよう求めた。しかし、国側は「出せない」と繰り返し応じなかったという。

協議終了後、報道陣の取材に応じた雅子さんは「個人情報だから出さないと言われたが、夫の命が奪われた時点で名前を明かさないというのは卑怯だと思う。夫は国民の皆さんの方を向いて仕事をしていたのに守られなかった」と語った。

一方、協議では佐川氏の代理人から「国家公務員の個人責任はないはずなので、どういう過程で指示があったのかは関連性がない」といった主張もあったという。

雅子さんは「悔しくてしょうがない。死んでしまった夫にそんなこと言うなんて、とてもひどい。ちゃんと出てきて本当のことを話してほしい」と悔しさを押し殺しながら訴えた。

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