「ワクチン、2回 打たなければ意味がない」長崎国際大・安東学長 必要性を全学生に動画で説明

「接種会場には臨床経験が豊富な医師を配置すべき」と語る安東学長=佐世保市、長崎国際大

 新型コロナウイルスワクチンの大学での接種を九州で最も早くスタートさせた長崎国際大(佐世保市)。約4千人が5日までに1回目の接種を終え、19日には2回目を開始する。陣頭指揮を執る医師の安東由喜雄学長に、学生の接種状況や会場運営のポイントなどを聞いた。

 -接種開始前に長崎国際大や長崎短大を対象に実施したアンケートでは、接種を希望する学生は48%にとどまった。
 接種は強制ではないが、接種する人が少ないと集団免疫を獲得できない。アンケート結果を受け、ワクチンについて正しく理解してもらう必要があると考え、有効性や副反応について私自身が解説した動画を作成。授業前に学生に見てもらった。
 副反応の多くは薬剤で治療ができるが、感染した場合には倦怠(けんたい)感や味覚・嗅覚障害、脱毛などの後遺症に苦しむ可能性がある。動画では接種によるベネフィット(恩恵)がリスク(副反応)を上回るということを伝えた。「ワクチンで不妊になる」など根拠のない情報もインターネットで拡散されている。正確な情報を知ってもらうための取り組みが必要だ。

 -実際の接種状況は。
 アンケート結果に比べて大幅に増え、長崎国際大は学生の82%(約1800人)、長崎短大は80%(約300人)が接種を受けた。このうち1人に、重いアレルギー反応のアナフィラキシーが起きたが、翌日には回復した。

 -2回目の接種が19日から始まるが、課題はあるか。
 ワクチンは届いているので問題ない。懸念しているのは、1回目を打ったのに、2回目を打たない人が出てくることだ。使用する米モデルナ製ワクチンの場合、十分な免疫力がつくのは2回目の接種後、2週間以降とされている。2回目を打たなければ意味がないが、全ての学生がそれを理解しているかは分からない。そこで、2回目の接種が必要であることを説明する動画も作成した。授業前などに全学生に見てもらっている。

 -接種会場の運営で重要なことは。
 運営方法については複数の大学から問い合わせがあっている。一番重要なのは、アナフィラキシーを発症するような事態が起きたときに、適切な処置や救急搬送などを迅速に行える態勢を整えることだ。現場には臨床経験が豊富な医師を配置した方が良い。


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