【函館記念】“遅咲きの大器”トーセンスーリヤ完勝 小野師「秋にはもうひと皮むける」

3馬身差の完勝で重賞2勝目をマークしたトーセンスーリヤ

18日、函館競馬場で行われたサマー2000シリーズ第2戦(9・5新潟記念まで全5戦)のGⅢ函館記念(芝2000メートル)は、2番人気トーセンスーリヤ(牡6・小野)が、4角で抜群の手応えから先頭に立つと後続に3馬身差をつけ完勝。昨年の新潟大賞典に続き、重賞2勝目を飾った。6歳にしてもう一段階のパワーアップを印象付けた同馬のレースぶりを振り返り、今後のさらなる飛躍の可能性を占ってみる。

近10年中8年で3連単10万円超え。荒れる歴史を踏襲するように今年も3連単20万超の波乱決着となったが、上位人気馬で唯一トーセンスーリヤだけがキッチリと実力を発揮した。

「スタートが上手だったし、(ペースが)流れたので、リズム良く自分の競馬ができた」と主戦・横山和が語った通り、好スタートを決め、前で競り合う2頭を少し離れた位置から追走すると、3角では早くも抜群の手応えで前の2頭をのみ込む。直線でも脚色は衰えることなく、ハンデ戦とは思えぬ3馬身差の完勝だった。

「調教の時から具合の良さは伝わっていたし、返し馬から馬が大人になっているのを感じた。自分が焦らなければ、かわされることはないと思っていました」。鞍上がそう語れば、小野調教師も「夏バテ気味だった去年の札幌記念(6着)とは違い、今回は牧場から緩まないで帰ってきたし、いい状態でレースを迎えられた」と2人とも仕上がりの良さにかなりの手応えを感じていたようだ。

数字面にもその充実度ははっきりと表れている。通常の函館記念は連続開催の後半に行われるが、今年は3週目施行。まだ馬場の傷みはそれほどでもなかったことで、1000メートル通過58秒5は近10年で最速、勝ち時計1分58秒7は13年のトウケイヘイローに0秒1差と優秀だ。洋芝適性がそれほど問われないような馬場で結果を出したことで、中央場所に戻る秋以降の活躍にも大きな期待が広がる。

「状態の問題がなければ、サマーチャンピオンを目指して新潟記念(9月5日=芝外2000メートル)に向かいたい」と直近の狙いはサマー2000シリーズ制覇だ。ただ、「秋にはもうひと皮むけると思うよ」と伸びシロも十分期待できる口ぶりで、見据える到着点はまだまだ上にありそう。脚元の問題などもあって地方デビューから地道に力をつけ、6歳にして進化を続ける遅咲きの大器。ひと夏の王者にとどまらず、秋の大舞台でも主役を張る可能性は決して低くあるまい。

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