長崎市とゼンリンが連携協定 地図情報を活用 地域課題解決へ

オンラインで結んで開いた締結式で、協定書を手にする(左から)田上市長と高山社長=長崎市役所

 地図大手ゼンリン(北九州市)は19日、地図情報を活用した地域課題の解決を目的として、長崎市と包括連携協定を締結した。同社が自治体と包括連携協定を結ぶのは初めて。観光型の次世代移動サービス「MaaS」(マース)を導入し交流人口の拡大を目指すほか、教育環境の充実や行政・企業のデジタル化も推進する。
 同社は2020年4月に人工知能(AI)を活用した地図データ作成に関する研究開発拠点を市内に開設。幅広い分野で連携・協力する今回の協定締結につながった。また、同市とは17年、平時から防災に関する情報交換を通じて防災・減災につなげる「災害時支援協定」を結んでいる。
 本年度内にサービス開始を目指す観光型MaaSでは、スマートフォンアプリを通し、街歩きするための観光情報を提供するほか、デジタルチケットでの支払いを可能にするなど利便性向上を図る。ほかの具体的な取り組みとしては、市役所の各部署にウェブ版の住宅地図を導入し、デジタル化による業務効率化を推進。小学校にはプログラミングを地図と組み合わせて学べる教材の提供も予定する。
 市役所と東京をオンラインで結んで開いた締結式で、同社の高山善司社長は「地図データを活用し、街づくりのお手伝いができると考えている。初めての試みだが、心新たに取り組みを成功させたい」と意気込みを語った。田上富久市長は「地図情報を活用し、プラスアルファの価値を見いだしていくことが今後期待される」と話した。

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