【東京五輪】八村&渡辺 史上最強バスケ日本代表の“最低ノルマ”

東京五輪では八村(右)と渡辺の二枚看板に期待がかかる

【KJ松井のCatch&Shoot(73)】日本バスケットボール史上最強の呼び声高い男子日本代表が、いよいよ東京五輪へと参戦する。米プロバスケットNBAでプレーする八村塁(23=ウィザーズ)と渡辺雄太(26=ラプターズ)の2大看板に大きな期待がかかる中、バスケ界の未来に向けて大舞台ではどんな戦いが求められるのか。本紙バスケット評論のBリーグ・富山グラウジーズ松井啓十郎(35)が決して外してはならない“最低ライン”を設定した。

五輪のバスケットボールは、W杯に比べて本戦に出られる国・地域は12と少なく、米国など強豪チームはNBAで活躍する選手を揃えるなどベストメンバーで臨んできます。そんな世界の強豪と日本がガチンコ勝負できるのはすごく楽しみですね。

世界ランキング42位の日本は26日に1次リーグC組初戦で同2位のスペインと対戦し、29日のスロベニア(同16位)戦、8月1日のアルゼンチン(同4位)戦に臨みます。ランキングを見ればお分かりの通り、全て格上でどのチームも勝利するのは簡単ではありません。現実的には、1勝することが目標になるでしょう。選手たちもそこは考えていると思います。

もちろん、スペインから歴史的な勝利を挙げる光景を見てみたいですが、やはり厳しいと言わざるを得ません。サッカーのA代表が、真剣勝負でスペインに勝つことをイメージしてください。それくらいのことですから。なので、1勝はアルゼンチンかスロベニアのどちらか、欲を言えば2勝を挙げてもらいたいですね。いずれにしても、勝たないことには決勝トーナメントは見えてきません。

なぜ最低でも1勝にこだわるかというと、今回は日本代表史上、最強と言われていることと関係しています。NBAで地位を築いた八村選手や渡辺選手をはじめオーストラリアで活躍した馬場雄大選手(ユナイテッド)もいます。スポーツは結果が全て。負けてしまえば“それでも勝てないのか…”と失望感が広がり、日本バスケ界にも影響を及ぼしてしまうからです。

戦い方に関しては大量リードの展開はないと思うので、全40分間の集中が求められます。立ち上がりとか、後半の出だしなどで相手に離される時間帯をつくれば、勝ち目はありません。その上で八村選手は20本くらいシュートを打つでしょうから、半分以上決めて20点をオーバーしてほしい。渡辺選手も10~15点、調子がよければそれ以上の得点を取らないといけません。

それに加えて日本は高さ、フィジカルで劣るのでスピーディーな展開に持ち込んで相手に弱点を突かせないようにすることも大事なポイント。本番前最後の強化試合(18日)で世界ランク7位のフランスに勝利しましたし、最強チームらしく大舞台で世界を驚かせてくれることを期待しています。

☆まつい・けいじゅうろう 1985年10月16日生まれ。東京都出身。バルセロナ五輪の「ドリームチーム」を見た父親の勧めで小学1年からバスケットを始め、イベントでマイケル・ジョーダンと1対1で対戦したことがある。高校から米国に渡り、コロンビア大学では日本人男子で初めてNCAA1部でプレー。卒業後は帰国し、昨季から京都に加入。来季からは富山グラウジーズへ移籍する。ニックネームの「KJ」は、米国で「けいじゅうろう」を覚えてもらいにくいために使い始めた。188センチ、83キロ。

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