借金生活突入のエンゼルス トレード期限の動きはどうなる?

エンゼルスは日本時間7月20日のアスレチックス戦に1対4で敗れ、17日ぶりの借金生活に突入した。現時点でア・リーグ西部地区の4位に位置しており、首位アストロズと10ゲーム差、2位アスレチックスと6.5ゲーム差、3位マリナーズと3.5ゲーム差。ワイルドカード争いではアスレチックスとマリナーズに加え、ブルージェイズ、ヤンキース、インディアンスも上にいるという状況だ。トレード期限となる日本時間7月31日までにチーム状態が著しく向上しなければ、売り手に回る可能性が高いだろう。

エンゼルスが売り手に回る場合、今季終了後にFAとなるアレックス・カッブ、ライセル・イグレシアス、ホゼ・イグレシアス、カート・スズキ、アンドリュー・ヒーニーらがトレード候補となる。ホゼ・キンターナやディラン・バンディも同じく今季終了後にFAとなるが、今季のパフォーマンスを考えると買い手を見つけるのは難しいと思われる。

このなかで他球団にとって最も魅力的なターゲットとなるのはライセル・イグレシアスだろう。今季ここまで38試合に登板して42回1/3を投げ、6勝3敗19セーブ、防御率3.40、65奪三振をマークしているエンゼルスのクローザーだ。一部のファンからは「イグレシアスを出してしまったら悲惨なエンゼルスのブルペンがさらに弱体化してしまうではないか」という声も聞こえるが、トレード・デッドラインで売り手に回るというのはそういうこと。ポストシーズンに進める可能性が低いのであれば、主力選手をトレードに出して若手有望株を獲得する。来季以降に再びポストシーズン進出を目指す際にイグレシアスが必要ならば、今季終了後にイグレシアスがFAとなったあとで呼び戻せばいいだけの話。今季いくつかの勝ち星を上乗せするだけのために貴重なトレードの駒をキープする必要はない。

また、「アンソニー・レンドンやジャスティン・アップトンを放出して投手を補強すべき」という声もあるが、レンドンやアップトンが好成績を残しているならともかく、年俸に見合わない働きしかしていない高額年俸選手を引き取ってくれる「お人好し」なチームなど存在しない。もし強引に放出するとしても、年俸の大部分をエンゼルスが負担するような形でなければトレードは成立しないだろう。もちろん、こんなトレードで獲得できる対価などたかが知れており、「レンドンやアップトンを放出しろ」という主張は的外れと言わざるを得ない。

昨年11月にエンゼルスのGMに就任したペリー・ミナシアンは、予算的な制約が非常に厳しいなか、両イグレシアスやスズキ、キンターナ、デクスター・ファウラー、カッブなどを次々に獲得してチームに必要なピースを揃えた。獲得した選手の多くが期待通りに活躍しなかったのは不運というほかないが、限られた予算のなかで最大限の補強を施してみせた手腕は見事。エンゼルスが売り手と買い手のどちらに回るか現時点では不明だが、いずれにしても今月末のトレード・デッドラインではミナシアンがどのような動きを見せるか注目したい。

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