連続開催のRSC第7戦はフォード・マスタングのキャメロン・ウォーターズが週末2勝をマーク

 急きょ、2週連続開催のダブルヘッダー戦として追加されたRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップの2021年“実質的”第7戦タウンスヴィル・スーパースプリントは、ティックフォード・レーシングのエースを務めるキャメロン・ウォーターズが、土曜オープニングでのタウンスヴィル初勝利から日曜フィナーレの2ヒートを制する活躍を演じて見せた。

 また、前戦同地の500ラウンドで週末ダブルウインを飾っていた2016年王者“SVG”ことシェーン-ヴァン・ギズバーゲン(ホールデン・コモドアZB/レッドブル・アンポル・レーシング)も、日曜最初のレース2で僚友の7冠王者ジェイミー・ウインカップを引き連れて勝利を挙げ、トリプルエイト・レースエンジニアリングがワン・ツー・フィニッシュを決めている。

 本来、第5戦として“スーパースプリント”戦を開催予定だったビクトリア州のウィントン・モーターレースウェイでの1戦が再延期となり、ここリードパーク市街地コースでの「週末2連戦」を開催する運びとなったRSCだが、オーストラリアを襲う新型コロナウイルス(COVID-19)再拡大の兆候は全土に及び、シドニーのロックダウンが2週間の延期措置となったことを受け、この週末に続いて8月中旬に開催予定だったシドニー・スーパーナイトも、日程未定のまま延期されることがアナウンスされた。

 そんな不穏な空気のなか始まった今回の“エクストラ”タウンスヴィル戦は、まず土曜最初のスプリントに向けディック・ジョンソン・レーシング(DJR)の新エース、アントン・デ・パスカーレ(フォード・マスタング/シェル・Vパワー・レーシング)がポールポジションを獲得。フロントロウ2番手にはモンスターエナジー・レーシングのフォード・マスタングをドライブするウォーターズが並び、セカンドロウ3番手にもDJRのもう1台、ウィル・デイビソンが続くなどフォード・マスタングが予選トップ3を独占する速さを見せた。

 そのまま午後にスタートが切られた39周のスプリントは、ポールシッターのパスカーレが序盤から首位を守ったままルーティンピットを迎えたものの、18周目にタイヤ交換作業を終えコールドタイヤでトラック復帰したところ、2番手ウォーターズに逆転を許す展開に。

 見事にアンダーカットを成功させたウォーターズがフィニッシュまでポジションを守り「先週はここで周回遅れにされる屈辱を味わった後だけに、心の底から安心したよ」と語る今季2勝目を獲得した。

土曜最初のスプリントに向けDick Johnson Racing(ディック・ジョンソン・レーシング/DJR)の新エース、アントン・デ・パスカーレ(フォード・マスタング/Shell V-Power Racing)がポールポジションを獲得
Monster Energy Racing(モンスターエナジー・レーシング)のフォード・マスタングをドライブするウォーターズが、まずは土曜のレース1を制した
Triple Eight勢のダブルペナルティ裁定により、パスカーレとチャズ・モスタート(ホールデン・コモドアZB/Walkinshaw Andretti United)が並ぶ表彰台となった

■勝負の明暗を分けたピットタイミング

 一方、予選4番手と同6番手からレースを戦ったトリプルエイトのダブルエースは災難に見舞われ、2位でチェッカーを受けたウインカップはピットレーン速度違反で15秒加算のペナルティを受け5位に降格。SVGもレース中にブロディ・コステッキ(ホールデン・コモドアZB/エレバス・モータースポーツ)との接触でタイム加算ペナルティを受け、6位に終わる結果に。

 これで2位パスカーレに続き、最後のポディウムには5番手スタートのチャズ・モスタート(ホールデン・コモドアZB/ウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド)が登壇。4位には予選19番手からの大躍進を見せたティム・スレイド(フォード・マスタング/ブランチャード・レーシング)が続いている。

 明けた日曜の2ヒートに向けては、まずウインカップがSVGを下してレース2の最前列を確保し、最終ヒートは前日勝者のウォーターズが今季4回目のポールポジションを射止めた。

 すると、予選でのポジション通りチームメイトとの一騎打ちが展開された午後のレースでは、ここリードパーク市街地コースを得意とするウインカップを異なる戦略で封じ込め、最後はSVGがサイド・バイ・サイドの直接対決も制して「これでジェイミーには安心して引退してもらえるね(笑)」と、今季11勝目をマーク。

 そのSVGは日曜最終ヒートもポールシッターのウォーターズを出し抜いて、フロントロウ2番手スタートからレース序盤を支配する。しかし17周目に中段グループで発生したクラッシュを受けセーフティカー(SC)が導入されると、直後にピットへ向かったSVGに対し、ウォーターズは1周遅らせてのオーバーカットを決行。

 これが勝負の決定打となり、モンスター・マスタングはレッドブル・ホールデンの前でコース復帰することに成功。そこからテール・トゥ・ノーズの熾烈なマッチレースが展開されたが、ウォーターズは完璧なディフェンスを披露し、0.876秒差でトップチェッカー。週末2勝目を飾ると同時に、ポイントリーダーの今季通算12勝目を阻止した。

 前述のとおり、続いて8月20~22日にシドニー・モータースポーツパークで開催予定だったスーパーナイトの延期決定を受け、2021年のRSC“実質”第8戦は9月10~12日のパース・スーパーナイトが予定されている。

レース1で「弾き飛ばされた」かたちのブロディ・コステッキ(ホールデン・コモドアZB/Erebus Motorsport)は、レース2で7位に
初期の接触から振動に悩まされたというジェイミー・ウインカップは、タウンスヴィル未勝利に「本当にがっかりした」
この週末2勝により、キャメロン・ウォーターズは首位SVGに412点差のランキング3位に浮上した

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