韓国がTBMカッターヘッドの設計自動化システムを開発 「韓国の建設技術が世界市場をリードできる」政策官

韓国が世界初とされる「TBM(Tunnel Boring Machine)カッターヘッド(cutterhead)設計の自動化システム」を開発し、コア技術である「TBM機器運転・制御システム」の国産化に成功したと伝えられた。

TBMは、都心地価トンネル、下水・海底トンネル、山岳トンネルなどで、環境に優しく経済的とされるトンネル工法であり、既存の発破によるトンネル工法とは異なり、トンネル前の断面を機械・掘削装置で騒音と振動を最小限に抑え、施工の効率を最大化することができる高度な建設機械である。カッターヘッドはトンネルを掘るために使用される巨大なドリルで、掘削機の前面に装備される。

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韓国国土交通省は、今回開発した技術は韓国建設技術研究院とイーエムコリア㈱など民間企業4社が国土交通省の研究開発(R&D)事業に参加し成し遂げた成果であり、2017年から2021年まで総額94億ウォン(約9億円)が投入されたと発表した。

(画像:韓国国交省の当該報告書に掲載された図)

TBMは、一般的に規格化された建設機械とは異なり、地盤の状態など、現場の条件に応じてオーダーメイドで設計製作しなければならない高価な建設機械であり、特に設計・製作技術を保有している国は、TBM制作及び運営技術を徹底非公開で管理していることから、源泉技術の確保が現実的に難しい技術であったという。

世界で初めて開発されたという「TBMカッターヘッド設計の自動化システム」は、従来手作業で行われていたカッターヘッドの設計を3次元プログラムによって様々な地盤条件を入力すると、それに適したカッターヘッドの設計が自動的に行われるようになっているという。現在、平均1ヶ月以上かかるカッターヘッド設計所要期間を3日以内に縮めることができるとのこと。

また、韓国の国内技術のみで開発に成功したとされる「TBM機器運転・制御システム」は、カッターヘッドの回転速度、掘進方向等を自動制御して運転するTBM運用の中核技術として、一部の先進国で保有している技術であり、今回確保したTBM機器運転・制御システムの源泉技術を使用して、純粋な国内(韓国)技術でTBM製作が可能になるものと期待されている。

最近、世界的に、トンネル掘削工事時の騒音や振動被害を最小限に抑え、安全な作業環境を造成するため、火薬を使用する掘削方法ではなく、TBMを活用した機械式掘削方式が増える傾向にある。

韓国国土部のイ・サンジュ技術安全政策官は、「TBMカッターヘッド設計自動化と運転・制御システムの開発は、韓国の建設技術が世界市場をリードすることができる可能性を見せてくれた大きな快挙」であるとし、「今後、国内の中小企業の技術移転と事業化を通じて国内市場だけでなく、海外市場への進出も活発になるものと期待される」と述べた。

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