「見てほしいのは元気」 7つのグラブ持参も侍J・栗原が誓う“熱男魂”の継承

ソフトバンク・栗原陵矢【写真:藤浦一都】

4種類、予備含め7個のグラブを持参

東京五輪に出場する野球日本代表「侍ジャパン」は、28日に初戦のドミニカ共和国戦(福島あづま球場)を迎える。25歳で外野手として初選出されたソフトバンク・栗原陵矢にとっては、実に忙しい大会となりそうだ。

仙台市の楽天生命パーク宮城で行われている強化合宿2日目の20日。栗原は慌ただしかった。投内連携ではヤクルト・村上とともに三塁、シートノックでは三塁と右翼、他の選手のフリー打撃中には一塁も守り、休む暇がない。

今季ペナントレースでも、これまで全88試合にスタメン出場しているが、53試合は右翼、25試合は左翼、8試合は三塁、2試合は一塁で先発。試合途中の守備位置変更で、3試合は捕手としてマスクもかぶっている。そもそも、ソフトバンクでは今季も捕手登録である。

昨年の巨人との日本シリーズで打率5割の猛打を振るい、MVPに輝いて全国的に名を揚げた栗原。過酷に見える“便利屋”扱いにも「本当にありがたい。僕自身やりたいと思っています。不安なく試合に入っていけるように練習したい」と前向きだ。

先輩・松田の“熱男”を継承へ「僕にもできたらと思います」

合宿には外野用、内野用、ファーストミット、キャッチャーミットの4種類、予備を含め計7個のグラブを持参している。五輪本番でも、ソフトバンク・甲斐と阪神・梅野の2人に不測の事態が起こった場合、“3人目の捕手”としてマスクをかぶる可能性がある。「練習でもブルペンで球を受けさせていただきたい。それは自分から言って、やらせてもらおうと思っています」とアピールする。

「負けられない試合ばかりで、イレギュラーな交代にも対応していかなければならない。言い訳なしに、行けと言われた所で頑張りたい」と覚悟を決めているが、実は最もこだわりのある仕事は、内野でも外野でも捕手でもない。「見てほしいのは、元気です。あいつちょっとうるさいな、と思われるくらい元気を出したい。今はまだ少し遠慮しているところがあるので、徐々に頑張りたい」と言う。

今回のチームには、2019年WBSCプレミア12でムードメーカーとしてチームを盛り上げていたソフトバンク・松田宣浩内野手が選出されなかった。栗原は同僚として「マッチさん(松田)が常に元気を出してチームを鼓舞している姿を見て、勉強させていただいています。僕にもできたらと思います」と“熱男”魂の継承を誓っている。

「侍ジャパンのユニホームは、凄く重みを感じます。素材的には軽くて優しいのですが、中身が詰まっている感じ」とユーモアを交えて語る栗原。八面六臂の活躍を期待したい。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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