株式会社吉田工業(新潟県燕市)が地元の小学校へ移動式簡易クリーンルームを設置、感染症のクラスター化防止などへ期待

株式会社吉田工業の吉田智代表取締役社長と保健室に設置された「ツバメエアクリーンルーム」

株式会社吉田工業(新潟県燕市)は21日、燕市立吉田小学校の保健室へ、同社が開発・製造する簡易クリーンルーム「ツバメエアクリーンルーム」を設置した。夏休みを除く2ヶ月間無償で貸し出し、学校からの評価や感想を今後の製品開発へフィードバックしていくという。

吉田工業は集塵機や換気設備など、空気の清浄化に関する設備の製造や設置を手がける企業。同社では国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)と協力してクリーンルームの開発と製造も行っており、これまでに同じくJAXAや、三菱重工株式会社といったロケット関連部品製造のためのクリーンルームも手がけた実績を持つ。

今回吉田小学校へ設置した物も含む、簡易クリーンルーム「ツバメエアクリーン」シリーズは、燕市が昨年実施した感染症対策商品の開発支援補助金を利用して開発。競合の製品と比較して、設置に工事が必要ないことから費用が抑えられるほか、移動式であり、福祉施設の個室化など状況に合わせた迅速な設置が可能であることにも利点がある。

こうした点が評価され、「ルーム」に先立って発売された「ツバメエアクリーンテント」は、2021年度のジャパン・ツバメ・インダストリアルデザインコンクールで優秀賞を受賞した。

吉田工業の吉田智代表取締役社長

「エアクリーンルーム」は、高さ1.8メートル、横1.2メートル、奥行き2.2メートル。骨組みはアルミ材であるため軽く、また梱包時からビニール幕を取り付けてあるため、設置は骨組みを展開し、空気清浄ユニットをマジックテープで接着するだけで完了する

今回の「ツバメエアクリーンルーム」設置は、東京都内の中学校に続いて2例目で、新潟県内では初。吉田工業から設置を提案し、市が学校の児童数や保健室の構造などを考慮して吉田小学校を選定した。

吉田小学校の二平芳信校長は設置の様子を見て「設置と運用については非常に簡単なようだった」と話す。クリーンルームの効果については「クラスターの発生防止や、養護教員が安全に職務にあたることができる点に期待できる。また、今は新型コロナウイルスが話題となっているが、元々風邪など病気は子供たちにつきもの。親御さんに迎えに来てもらうまで、他の生徒への感染の心配がなく寝て待つことができるのは安心」だという。

吉田工業の吉田智代表取締役社長は「弊社の培ってきた部品製造のためのクリーンルームの技術が、現在のコロナ禍で役立てるのではないかと思って商品を開発した。今回地元の小学校で使ってもらい、使い勝手や利便性をヒアリングして次の製品開発へ繋げていきたい」と語った。また今後は、発熱者の外来受付ができない病院などでも、テントやルームを活用してもらいたいという。

設置の様子

空気清浄ユニットを設置後、折りたたみ式の骨組みとビニールカーテンを展開し、ベッドを囲む

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株式会社吉田工業 webサイト「ツバメエアクリーンテント」

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