【藤井勘一郎コラム】東京五輪開幕 総合馬術日本代表・大岩選手と調教師の〝縁〟

藤井ジョッキー(左)と中條調教師(藤井ジョッキー提供、2014年撮影)

皆さんこんにちは、藤井勘一郎です。

いよいよ東京オリンピックが開幕しますね。今回は、総合馬術の日本代表として出場する大岩義明選手と、私のオーストラリア時代からの友人である中條大輝君とのご縁についてお話ししたいと思います。

大輝君と私はオーストラリアの競馬学校の同期生です。2016年から向こうで調教師として開業している彼ですが、競馬学校卒業後は馬術競技の選手としてオリンピックを目指していた時期がありました。

2006年から約3年間、オーストラリア出身で当時イギリスをベースに活躍していたアンドルー・ホイ選手(バルセロナ五輪、アトランタ五輪、シドニー五輪の総合馬術団体金メダリストです)に師事して馬術を学んでいたのですが、その時に一緒だったのが大岩選手だったのです。いわば兄弟弟子の関係ですね。その後、大輝君はドイツに拠点を移していた大岩選手自身に〝弟子入り〟してドイツの伝統的な馬術を始め、様々なことについて教えを受けます。

そして、オーストラリアでの調教師開業を志して日本で研修した際に研修先として藤原英昭厩舎を紹介したのも大岩選手です。ご存じの方も多いでしょうが、藤原先生も大学時代に馬術で活躍された方。大岩選手は小学生の時、藤原先生に馬術を習っていたそうで、そのつながりからですね。大輝君いわく藤原厩舎は全体的に馬術目線の馬づくりが特徴の厩舎で、先生だけでなくスタッフの方たちにも浸透しているとの事。競走馬の調教に馬術をどう生かすか、この研修が現在の大輝君の仕事に与えている影響は大きいでしょうね。

大輝君が大岩選手から学んだ一番大きなものは、勝負に懸ける気持ちの部分だそうです。「次は無いんだ」という正に退路を断つような心境で一戦一戦の勝負に挑む、気持ちの強さとでも言いましょうか。さすがこれで4回目の五輪出場となるオリンピアン、私も学ぶべきところが多いです。大岩選手の活躍が今から楽しみですね。

その一方で、私は先週、JRAでの騎乗回数が1000回を超えました。これまで騎乗を依頼して下さった馬主の皆さまと、調教師の先生方を始めとする厩舎スタッフの皆さま、そしていつも応援してくださるファンの皆さまに心から感謝申し上げます。今後ともよろしくお願いいたします!

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