圧巻のマウンドさばきだった。東京五輪の1次リーグが22日、福島県営あづま球場で行われ、日本はメキシコに対戦した。
試合は7回に同点とされたが、ピンチの場面でマウンドに上がったチーム最年少左腕・後藤希友(20=トヨタ自動車)が2回5奪三振の快投。チームも延長8回に渥美万奈(同)が小技を絡め、3―2でサヨナラ勝ちを収めた。
絶対絶命の場面でもひるまなかった。エース・上野由岐子(ビックカメラ高崎)が7回に四球と連続安打を浴び、同点に追いつかれ、なおも無死一、二塁の大ピンチ。
上野からバトンを受けてマウンドに上がった後藤は「0点に抑えたら、必ず野手の方が点を取ってくれると思っていた」と堂々たる投球を披露した。1人目の打者を捕飛に打ち取ると、2者連続三振。8回も3つのアウトをすべて三振で奪い、チームに流れを引き寄せた。
まさに、勝利の立役者にふさわしい活躍を見せた後藤。宇津木麗華監督は「大事な時に使おうと思っていた。昔の上野みたいに見えた。いずれ日本を背負っていくようなピッチャーにしていきたい。今日は最高のピッチングでした」と褒めたたえた。
この日は憧れの存在である上野の39歳の誕生日。後藤は「必ず勝ちをプレゼントしたいと思っていた」と無邪気な笑顔を浮かべた一方で「上野さんのような素晴らしい方に一歩でも近づけるように、いつも日々練習をしている。もっともっと頑張りたい」とさらなる高みを見据えている。
上野も「しっかり抑えてくれた。調子も上がっていたし、いつも通りだったと思う」と絶賛する期待のサウスポー。頼れる先輩の背中を必ず追い越し、日本の新エースの座を勝ち取る覚悟だ。