【岸本拓也が街をプロデュース】北海道全土から客呼べる釧路の魚介カレー

釧路の魚介に注目した岸本氏

日本全国に増え続ける面白い名前のパン屋のプロデューサー・岸本拓也氏が、もし地方の街をプロデュースしたら? 新規開店のために日本を飛び回り、地道な調査を重ねる岸本氏。蓄えた知識を街おこしに生かしてもらおうという連載です。

【北海道・釧路③】
北海道のラーメンは、札幌ならみそ、旭川はしょうゆ、函館では塩というように、地域によって特徴があります。釧路市はといえば、魚介のダシを使ったしょうゆラーメンが絶品。魚介は北海道一の水揚げ高を誇る釧路の特徴を生かした魚介ラーメンなら、全国のラーメンファンの注目を集めること間違いなしです。

我々のベーカリー「あの人はナルシスト」は今年4月17日、釧路にオープンさせていただきました。こちらは釧路のみならず厚岸や根室や帯広、さらに知床からもお客さまが来てくれています。

北海道で放送される民放のテレビ番組はどこでも同じだから、道東にいても札幌の情報がめちゃくちゃ入ってくるんです。札幌市に出店している直営のカレーパン専門店「カレーパンだ。」のカレーパンを「あの人はナルシスト」でも販売しているのですが、釧路の皆さんはそれを知っていて、お客さんが殺到して一瞬で売り切れてしまいます。カレーパンを求めて、これだけ釧路に人が集まる。それなら、釧路の魚介を使ったカレーのお店もいいですね。釧路にも気になるカレー屋はあるけれど、カレー好きが殺到するようなおいしい店にはまだ出会っていません。カレー好きはおいしいカレーを求めて全国どこへでも出かけて行く。釧路ならではの魚介&魚介スープを使ったカレー屋となれば、集客が見込めるはずです。魚介だけでなく野菜類も近隣のものを使えば、話題性もさらにアップします。

食べ物はひと手間加えることでさらに魅力的な観光資源になりますが、一方で「手つかずのまま」の方がいいものもあります。それは釧路湿原です。4000~6000年前からあったといわれる雄大な絶景は、これからもずっと変わらないでほしい。滞在型で、何もしないぜいたくを楽しめるような人をターゲットにした観光地として売り出すといいでしょう。

個人旅行には本当におすすめ。ラグジュアリーなホテルを造り、洗練された食を提供すると、客単価を稼ぐこともできるのではないでしょうか。

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