【東京五輪】聖火最終ランナーは大坂なおみ! 出場試合を延期…組織委異例「VIP待遇」

最終ランナーは大坂だった!

東京五輪の開会式が23日、国立競技場(東京・新宿)で開催され、女子テニスの大坂なおみ(23=日清食品)が聖火リレー最終ランナーの大役を務めた。

いったい誰が出てくるのか? メディアやネットの予想では冬季五輪2連覇のフィギュアスケート羽生結弦(ANA)、元大リーガーのイチロー氏らの名前も上がっていたが、ふたを開けると〝世界一〟の日本人女性だった。

午後11時45分、聖火を手にした大坂。競技場中央に出現した階段をゆっくり上ると、聖火台に火をともした。燃え盛る聖火を前に笑顔を浮かべ、開会式は感動のうちに幕を閉じた。

5月の全仏オープンでは会見拒否騒動を起こし、その後に〝うつ状態〟を告白。大会を棄権し、米ロサンゼルスの自宅で休養を取っていた。だが、東京五輪は何としても出たかった。米国との二重国籍だった大坂は19年10月に日本国籍を選択。以来、東京で金メダルを掲げてきた。

コート外での活動も大役抜てきの要因だろう。昨年秋の全米オープンでは黒マスク着用して黒人差別問題に切り込み、前述の会見拒否で選手を代表して「メンタルヘルス」の重要性を訴えた。「多様性と調和」「ジェンダー平等」を掲げる組織委にとって、強い女性として数々の難局に挑む大坂はうってつけのアスリートだったと言える。

そのため、舞台裏では破格の待遇もあった。もともと開会式の翌日24日に1回戦を戦う予定だったが、関係者によると組織委サイドから大坂へ「試合延期」の打診があったという。午後11時半まで行われる開会式で大役を務め、翌日の午前中に試合をするというタイトなスケジュールに配慮したとみられる。

例えば体操の五輪2連覇・内村航平(ジョイカル)は五輪開会式に一度も出たことがなく、かねて「試合が翌日になければ出たい」と漏らしていた。テニスは日程変更が可能な競技だが、不信感が募る組織委にとって〝大坂ブランド〟に頼る究極の作戦だったわけだ。

世界に顔が聞く大坂が東京大会の〝顔〟となり、17日間の長い戦いが始まった。

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