野党は政権交代の可能性示せる総選挙にせよ

 菅政権の典型的政策乖離が「東京五輪開催」と「新型コロナ感染症への認識発言」で浮き彫りになっている。

 菅総理は東京五輪開幕2日前の21日開いた新型コロナウイルス感染症対策関係閣僚会議で「引き続き高いレベルで警戒を続け、対策を続ける必要がある」と強調した。

 国民には「不要不急の外出を控え、五輪は自宅でテレビ観戦、都内や感染措置対象地域ではテレワーク、首都高、一般道の交通渋滞回避へ」協力を呼び掛けた。

 首都圏での感染拡大が続いていることを認識しながら(あるいは、していないのか?)、同じ21日、記者団には「世界の選手の皆さんの活躍によって、若者や子供たちに夢と感動を与えられる最高の機会になることを期待します。日本の選手団の皆さんには持てる力を十分発揮していただいて、最高のパフォーマンスを見せてほしい」と開催へ強いメッセージを発信した。

 菅総理は「感染状況が変わってきたら5団体(IOC、IPC、都、組織委員会、政府)でパラリンピックは有観客の中でと思う」とまで語ったのだ。同じ日の発言に理解できない。

 五輪開催中でさえ、状況次第で「中止」決断を視野に入れなければならないような状況で、どうして現況乖離の見通しを語れるのか。「オリンピック・パラリンピック開催ありき」の既定路線を曲げられないしがらみがあるのか、としか推察できない。

 この政府にオリンピック・パラリンピック終了後も継続を期待し続けるのか、それとも安倍政権以来続く体質を脱する政権を樹立するのか、迫る「衆院解散・総選挙」に与党も野党も、総選挙後の政権で「何をめざし、何をするのか」。国民の前に簡潔・明瞭な政権構想を早く示してほしい。

 特に野党は政権交代に届く議席体制を築くことが急務だ。夕刊フジが今月20日付けで選挙プランナー・松田馨氏の18日現在での各党獲得議席予測を報じた。

 それによると、立憲と共産、社民の3党獲得議席は170にとどまっている。衆院議席の過半数(233)に遠く及ばない状況だ。国民民主を入れても177議席止まりになっている。仮に自民党支持層から安倍・菅内閣へのこれまでの反発票が流れ、20~30議席が上積みされても最大207にとどまり、政権交代には26議席足りない。

 これはあくまで今月18日現在での松田氏の予測だが、政権交代実現を心から必要と認識し、そうした選挙へ立憲・共産・社民が本気で戦うのであれば、都議選での「ウインウイン」の関係を構築する選挙協力を実現し、自公統一候補に対抗できる野党統一候補を各小選挙区に擁立することを早急に決めることだ。不祥事で自民党を離党し、無所属で戦わざるを得なくなった選挙区は選挙戦の追い風になるだろう。候補を擁立しなければ野党の政権獲得の本気度が疑われるだろう。

 都議選では立憲・共産連携で定数1の武蔵野市、小金井市で立憲が議席を得た。定数2の文京区、豊島区、日野市では共産が議席を得た。連携協力を実証した選挙結果といえよう。

 政権交代できない結論にならないよう、交代の可能性を示せる総選挙になるよう、国民に示して戦うのが「現行野党の責任」と自覚すべき。それは自公の活性化につながる相乗効果をもたらすことにもなろう。立憲執行部はコロナ対策とともに、選挙対策でも走り切れ。(編集担当:森高龍二)

都議選では立憲・共産連携で定数1の武蔵野市、小金井市で立憲が議席を得た。定数2の文京区、豊島区、日野市では共産が議席を得た。連携協力を実証した選挙結果といえよう

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