ISSのモジュール「ピアース」分離を1日延期、新モジュール「ナウカ」は軌道修正噴射を実施

【▲ 国際宇宙ステーションのドッキング室「ピアース」(中央)と無人補給船「プログレスMS-16」(上)(Credit: NASA)】

アメリカ航空宇宙局(NASA)とロスコスモスは、7月23日に予定されていた国際宇宙ステーション(ISS)ロシア区画のドッキング室(DC-1)「ピアース(Pirs)」分離が1日先送りされたことを明らかにしました。新たな分離予定日時は日本時間2021年7月24日21時28分とされており、NASA TVのライブ配信開始時刻も同日21時に変更されています。

ピアースはロシア区画から船外活動を行う際のエアロックや、有人宇宙船「ソユーズ」および無人補給船「プログレス」のドッキングポートとして用いられてきた小型のモジュールです。ピアースは2001年9月からサービスモジュール「ズヴェズダ(Zvezda)」の下部(天底側)に結合されていましたが、7月21日に打ち上げられたばかりの多目的実験モジュール(MLM)「ナウカ(Nauka)」にドッキングポートを譲るため、現在ピアースにドッキング中の補給船「プログレスMS-16」を使って分離・廃棄されることが決まっています。

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NASAはピアースの分離が先送りされた理由について、ロシア側がナウカの状況を確認する時間を確保するためと説明しています。ロスコスモスは日本時間7月23日未明にナウカの軌道を修正するためのエンジン噴射が2回実施されたことを発表しており、ナウカに搭載されている推進ユニットの操作性がテレメトリデータから確認されたと言及。ロスコスモスによると現在ナウカは高度364.86×230.43kmの軌道を周回中で、この後も追加の軌道修正噴射が行われる予定です。

Image Credit: NASA
Source: Roscosmos / NASA
文/松村武宏

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