中国豪雨でサメやワニ?「悪質デマ画像」拡散で住民不安

豪雨被害に見舞われる中国(ロイター)

中国河南省を襲った豪雨で23日、一部で冠水や停電が残る中、市民らはポンプで排水を行い復旧を急いだ。中国メディアによると、新たに堤防の決壊が発生し、近くの村に濁流が押し寄せた。死者は56人に増え、5人が行方不明。

日産自動車は23日、豪雨の影響で停止していた河南省鄭州市の合弁の完成車工場で、生産を再開したと明らかにした。

被災者は750万人を超える。農作物被害などで経済損失は655億元(約1兆1100億円)に上るという。

中国紙、21世紀経済報道(電子版)によると、鄭州市から北に100キロ以上離れた鶴壁市で23日朝に川の堤防が決壊、村が水没した。人的被害は不明。各地で地盤が緩んでおり、道路の陥没や、洪水で損壊した住宅も目立つ。

甚大な被害が出ているにもかかわらず、中国のSNSには悪質なデマが飛び交っているという。

中国メディアによると、SNS上には、街を襲った洪水の中を巨大なサメやワニが泳いでいる画像が投稿され、拡散されていった。画像には、「洪水被害によって現地の水族館からサメやワニが逃げ出し、街の中を泳いでいる」という説明があり、住民の不安をあおっていた。

中国人ジャーナリストの周来友氏は「実はこれらの画像はロシアやメキシコで撮影されたもので、今回の洪水とは全く関係がなかったのです。何者かが悪質なデマ情報を流していたのです。今後、地元当局による捜査が行われる見通しとなっています。今後も被害の拡大が懸念されますが、ネット上にデマを流すことでさらなるパニックが人々を襲い、被災者の精神的ダメージに追い打ちをかけるのです。こうした犯罪が厳罰に処されることを願うばかりです」と話している。

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