【追う!マイ・カナガワ】河野大臣事務所脇に「ど根性植物」 もっとワクチン頑張れと叱咤激励?

中央分離帯のマンホールから生えたキリ、左端は河野太郎行革相の平塚事務所

 「河野太郎大臣の事務所脇に『ど根性植物』が生えています。植物も応援しているんですかね」。平塚市の50代女性から「追う! マイ・カナガワ」取材班に寄せられた“珍情報”。河野行政改革担当相といえば、新型コロナウイルスのワクチン担当も兼務するが、ここにきてワクチン供給がペースダウン気味。再加速へ、もっと頑張れという叱咤(しった)激励か⁉ 平塚を取材すると、いろいろと面白いことが…。

◆担当になる前から

 平塚駅から南に延びる県道の中央分離帯。その中にあるマンホール脇の隙間から顔を出した植物が夏の日差しの下、風にそよいでいた。

 女性は2カ月ほど前に気付いたといい、ヒマワリと思って「早く咲かないかな」と毎日 観察しているという。高さは記者の身長 よりはるかに高く2メートル近い。

 目の前に、今月18日でワクチン担当を兼務してから半年を迎えた河野行革相の平塚事務所がある。接種の陣頭指揮を執っているが、ワクチンの供給数が需要に追い付かず、県内や都内では新規感染者数も増加中で、需要の見通しの甘さに批判も出ている。地元での評判はどうなのだろう。

 意気込んで近くのリサイクル店の女性に聞くと「あまり気にしていなかったけど、ワクチン担当になる前から生えていたと思う」。英語教室の男性は「2年ぐらい前からあったような」と言う。一人熱くなる記者と違って市民は冷静だ。

◆首相の演台

 この植物は何なのか。鎌倉市の大船フラワーセンターに写真を見せると「おそらくキリでは」との見解だった。種子が風で運ばれ、マンホールの隙間から芽を出したらしい。近くを歩くと、旧平塚税務署の敷地近くに同じような木を見つけた。

 キリについて調べた。首相会見の際、官邸で使われているのが「五七の桐」を付した演台という。記者もテレビで演台の「桐紋」を見かけたことがある。世論調査では次期首相候補の常連の河野行革相には縁起がいいのかも。

 このキリが今後、すくすく育つころには─。さまざまな想像を膨らませながら、道路を管理する平塚土木事務所にも聞いてみると、パトロールでキリの存在をしっかり認知していた。

 さすがだなと感心していると、驚きの事実が告げられた。「根が張って道路の構造物に影響すると困るので、年末にかけてマツの木を剪定(せんてい)する際、一緒に処理します」。担当者は、すでに作業する業者も決まっていると申し訳なさそうに言うのだった。

◆まさかの運命

 まさか、年内に切られてしまう運命とは…。残念な気持ちを河野事務所にぶつけてみたが、地元を預かる男性秘書は事務所前ですくすく育つキリについて、「毎日通っているけど気付かなかった」という。

 いずれ撤去される予定だと伝えると「私たちのために残すわけにもいかないでしょう」とぽつり。

 秋までには自民党総裁選や衆院選がある。内閣支持率は低迷し、「菅首相では選挙を戦えない」との声が広がる中、“ど根性キリ”の行く末は─。

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