金子マリ「下着つけてないんです」とても21歳とは思えない堂々としたたたずまい

「下北のジャニス」金子マリ

【今週の秘蔵フォト】グループ系アイドル全盛の現在でも、圧巻の声質と存在感を持つ女性ボーカリストは多い。MISIA、宇多田ヒカル、UA…。日本ロック黎明期から1970年代前半になると独特な個性を持つ女性ロックボーカリストが次々と登場し始めた。70年代にフォークからロックに転向したカルメン・マキ&ブルース・クリエイション、そして「下北のジャニス」と呼ばれた金子マリ&バックスバニーらがその筆頭である。いずれも伝説のシンガー、ジャニス・ジョプリンに例えられ、金子は実家が古くから東京・下北沢で葬儀屋を営んでいたため、このニックネームがついた。女性ロックボーカリストの草分け的存在である。

ライブで人気が広がり76年5月にデビューアルバムを発表。同年6月9日付の本紙では金子のインタビューを掲載している。「今では下北のジャニスと呼ばれることに抵抗があります。ロックやフォークというジャンル分けは無意味。あくまでもシンガー・金子マリでありたい」

たばこをくゆらせ堂々と語る表情はとても21歳とは思えない。かったるい表情でたばこをふかすポーズは当時のトレンドだったが、心底性根が据わっていなければここまでハマるものではない。

「ほとんど化粧をしていない素顔がさわやかだ。ふと気がつくとノーブラの胸がまぶしい。笑った顔がくしゃっとなる」と記者の印象が記されている。金子は「下着はつけてないんです。えっ、パンツははいてますよ。なまけものなんですよ、要するに」と実にあっけらかんと答えている。

「ステージがすべて。いつか満足できるステージをやりたい。それが歌を歌うことの要になっている」。ちなみに金子は66歳の現在も精力的にライブを続けている。

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