「非常に価値がある」小川直也氏が探る阿部一二三&詩〝連覇へのカギ〟

金メダルを獲得した阿部一二三(左)と阿部詩

東京五輪の柔道競技2日目となった25日、男子66キロ級の阿部一二三(23=パーク24)と女子52キロ級の阿部詩(21=日体大)の兄妹がそろって金メダルを獲得した。男女のきょうだいが五輪のメダルを取るのは日本初。本紙解説を務めるバルセロナ五輪男子95キロ超級銀メダルの〝元暴走王〟小川直也氏(53)は2人を絶賛したうえで、連覇への〝カギ〟を分析した。

【小川直也の暴走レッドゾーン】史上初の男女きょうだい同日優勝か、すごいよね。今日の阿部きょうだいは、出場した全選手に研究され尽くしてたんじゃないかな。そういう意味でも非常に価値があると思うよ。

一二三君は袖釣り込み腰や背負いが研究されているので、大外刈りをうまく使っていたよね。まあ、今までは袖釣りだけで通用していたんだけど、研究されて一本勝ちがなかなか取れなくなってきた。そういう状況で、見事に自分を進化させていたよ。その辺はハートが強いなって感じだね。

ただ、まだ古賀(稔彦さん)の域にまではいけてないかな。古賀は背負いがくると相手に警戒されていても、投げることができた。これから男子代表を引っ張っていく立場になるんだから、技の精度もどんどん進化させていってほしいね。

詩さんはしっかり組んでいて、試合を組み立ててていく〝展開力〟が素晴らしい。寝技にも磨きがかかっているし、立ってよし、寝てよしのオールラウンダーだね。寝技というところでは、お兄ちゃんはできるのにやらないから、そういう意味では妹のほうが優れていると言っていいいよ。

阿部きょうだいが今後、連覇を重ねていくなら、やっぱり「寝技」がカギになるんじゃないかな。オレも現役の頃は立ち技で取れなくなり、寝技にいくようにしたら、また勝っていけるようになった。2人ともニッポン柔道のエースとして、さらなる進化を目指してほしいね!

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