源田壮亮を使わないと“もったいない” 侍ジャパン稲葉監督はどう起用するか?

侍ジャパン・源田壮亮【写真:荒川祐史】

バント、盗塁など小技も使えて得点に絡んだ源田壮亮

東京五輪の野球日本代表「侍ジャパン」は25日、宮城・仙台市の楽天生命パークで行われた巨人との強化試合に5-0で完勝した。「2番・遊撃」でスタメン出場した源田壮亮内野手(西武)が、3打数2安打2犠打1盗塁で持ち味を発揮した。ショートのポジションはチームリーダーの坂本勇人内野手(巨人)の起用が濃厚で、五輪本番で源田は“スーパーサブ”としての役割が増えそうだが、それではもったいないと思わせるほど存在感を放っている。

この日、侍ジャパンの得点シーンには、全て源田が絡んでいた。初回、中前打で出塁した山田を投前へのバントで送ると、巨人先発・直江の一塁送球が逸れて一、三塁に。続く吉田正尚外野手(オリックス)の二ゴロ併殺打の間に先制点をものにした。

3回には1死から一塁方向へ高いバウンドの当たりを放ち、今季ペナントレースで18盗塁をマークしている俊足を生かして内野安打に。続く吉田の初球に、ディレード気味にスタートを切り二盗を決めて見せた。この回は得点に結びつかなかったが、6回には先頭で中前打を放ち、吉田との間で鮮やかにランエンドヒットを決めて一、三塁に。一挙3得点の口火となった。7回には、二塁打を放った山田をバントで三塁へ送り、吉田の右前適時打につなげた。

3年連続ゴールデングラブ賞の守備力も見せつけた。4回1死一塁で、岡本が放った当たりはボテボテのゴロだったが、猛然と前進し捕球した源田はノーステップで軽やかに二塁の菊池涼介内野手(広島)へ送球し、併殺に仕留めた。「抜群の守備力、持ち前のスピード、状況に応じた打撃ができる点に期待しています」と言う稲葉篤紀監督の思惑に、まずは満点で応えた。

遊撃には坂本、三塁には村上がいる侍ジャパン

五輪本番初戦のドミニカ共和国戦(福島あづま球場)は28日に迫っている。坂本がいる以上、源田はベンチスタートの可能性が高い。ここ一番での代走、代打、守備固めなど様々なシチュエーションで重宝されるだろう。

さらに、三塁を本職とする野手が村上宗隆内野手(ヤクルト)ただ1人というチーム事情から、ホットコーナーを任される可能性も高い。源田自身にとっては慣れないポジションだが、実際に強化試合2試合ではいずれも終盤に三塁の守備に就いた。

ただ、それだけではもったいない気さえしてくる。「打つだけでは、たくさんの点数は取れない。細かい野球をやるという姿勢を見せたかった」と稲葉篤紀監督は言う。スモール・ベースボールに徹するならば、6回にセーフティスクイズを決めた菊池に加え、源田がスタメンに名を連ねた方が、攻撃のバリエーションは増えそうだ。

「与えられた所でしっかり仕事をして、チームの勝利に貢献したい。自分に求められている足、守備、小技では失敗がないように準備したい」と職人気質をうかがわせる源田。稲葉監督はどんな起用法で生かし切るだろうか。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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