〈なおえつうみまちアート〉作家紹介〈2〉 安国寺通り特設会場 廃校の学用品を作品に 「直江津アップサイクルセンター」GELCHOP(ゲルチョップ)

 楽しみながら、自分の頭で考えて自分の手で作る。このシンプルなことが、アートを楽しむ生活の始まりです。それを実践しているのが三人組のユニット、GELCHOP(ゲルチョップ)。工作好きがグループを結成し、20年以上活動を続けています。小さなものから大きな空間まで、卓越したアイデアとテクニックと経験値で、見たこともないものに仕上げます。

 リサーチで初めて直江津を訪れた際に、上越市内の小学校が閉校になっているお話を伺いました。そこで、市内の学校に眠っている学用品を新たに作品としてよみがえらせ、一部の作品は街づくりのための寄付を目的として制作し、街の未来を築く子どもたちへ循環するシステムができたら、より良い社会になるのではないか、と考えました。閉校した小学校で不用となっている学用品の中から、作家が選んだものを組み合わせたり形を変えて約50点の新作を発表します。会場も、しばらく使われてなかった建物を活用しました。

 少子化で学校が閉校になる現実を、自分たちの想像力と手で地域の活力や経済力に変えていく可能性、そして街そのものを楽しみながらアップサイクルする仕組み自体が作品です。大切な子ども時代の思い出が、くすりと笑える作品に大変身します。(文・キュレーター鈴木潤子さん)

 GELCHOPは2000年に結成。モリカワ リョウタ、オザワ テツヤ、タカハシ リョウヘイ、3人の工作好きによって活動を続ける3D造形グループ。ハンドワークでイメージと現実の世界をつなぐ、立体というカテゴリーの下、多岐にわたって活動。パブリックスペースのアートワークやオリジナルプロダクトから玩具、農作物、車、建築、エネルギー、コミュニティーに至るまで、〝つくる〟ということを〝D.I.Y〟精神をもって探り、手を汚す日々を過ごす。

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