西武愛あふれるメヒア電撃退団…長引くコロナ禍が変えた「単身赴任」という家族の形

西武を退団したメヒア

西武は26日、エルネスト・メヒア内野手(35)の電撃退団を発表した。

メヒアは14年途中に西武に入団し34本塁打でホームラン王を獲得。通算8シーズン、738試合に出場し打率2割4分2厘、142本塁打、406打点をマークした優良助っ人の一人だ。

年俸5億円の3年契約が切れた19年オフには、同じポジションの山川の台頭などで出場機会に恵まれず自由契約となり他球団への移籍を模索していたところ、渡辺久信GMから「来季も戦力として考えている。残ってほしい」とのラブコールを受け方針を一転。「この環境こそが自分の財産」と他球団との交渉を打ち切り4億円ダウンの単年1億円契約で西武との再契約の道を選んでもいた。

そんな西武愛あふれる助っ人が自らの意思で退団を申し出た裏には、出口の見えないコロナ禍が変えてしまった家族の形に対するストレスが大きくその決断に影響を与えていた。

現在、五輪中断期間を利用し自宅のある米国帰国中のメヒアが球団を通し「いま世界中がとても困難な時期であり、世界の反対側から日本に来た私にとって家族がいないことは本当に大変でした。家族を優先しなければならないということをお詫び申しあげます」とファンに謝罪したように、今年5歳になる長男・アロンソ君、マイテ夫人と離れ離れの生活が自身にとって耐えがたいストレスだったということだ。

そもそも家族は常に一緒にいるもので「単身赴任」という概念のない多くの既婚の外国人選手にとって家族を自宅に残し、異国に「出稼ぎ」に行くというシチュエーションは彼らにとって一般的に想定されたものではない。

現在、東京五輪のために来日中で普段はMLBやNFLをカバーする米国メディアの一人は「(前巨人の)スモーク、(前オリックスの)ディクソンに続いて彼(メヒア)がコロナ禍で家族の問題による3人目の退団者になった。残念ながら、家族ビザの発給が止まっている以上、この傾向はしばらく続くと思う。米国内にいる各NPB球団のスカウト(や渉外担当)も小さな子供のいる既婚選手を、今はリストから外さざるを得ないという話をしていた。今の状況は(助っ人外国人を必要とする)日本の球団にとっても、マイナーリーグの選手にとっても不幸な状況」と解説した。

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