【柔道】五輪2連覇の大野将平が聖地の天井見上げたワケ「もうないかもしれない」

試合後、聖地の天井を見上げた大野

〝聖地〟への思いとは――。東京五輪の柔道競技3日目(26日、日本武道館)、男子73キロ級の大野将平(29=旭化成)が2016年リオデジャネイロ五輪に続いて金メダルを獲得し、日本男子史上4人目となる2連覇を達成。特別な場所で最高の輝きを放った。

一つひとつの動作に思いが込められていた。決勝の前には、一歩一歩かみしめるように歩みを進めた。「試合前は変わらず『執念・集中・我慢』とこの3つの言葉を口ずさみながら畳の上に上がった」。ラシャ・シャフダトウアシビリ(ジョージア)との決勝は、ゴールデンスコアにもつれたが、支え釣り込み足で技ありを奪い、9分26秒に及ぶ死闘に決着をつけた。

試合後には〝聖地〟日本武道館の天井を感慨深げに見つめた大野。その理由について問われると「日本武道館は特別な場所。学生時代はよく日本武道館で試合をすることがあったが、社会人になって聖地で試合をすることが私も29歳になり、残り少ないというか(日本武道館で試合をすることが)もうないかもしれないという思いがあったので、この景色を最後目に焼きつけたいとの思いだった」と神妙に語った。

とはいえ、日本武道館での試合は今回がラストではない。個人戦は終わったが、31日には団体戦が控えている。「今後のことはなかなか今は考えづらいが、自然とすぐに団体戦のことに気持ちがいったので、日本柔道のために貢献したい」と決意を新たにした。

個人戦の次は団体戦。再び〝聖地〟で表彰台のテッペンに立ってみせる。

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