稲葉監督は若侍と心中覚悟! 五輪金のカギ握るC栗林、L平良の〝タテとヨコ〟

侍守護神最有力の栗林

東京五輪で金メダルを狙う野球日本代表・侍ジャパンは26日、福島に移動。28日の初戦(対ドミニカ共和国)に向け最終調整に入った。実戦2試合を含めた仙台での強化合宿でチーム全体の力は着実に高まりつつある一方、不安がないわけではない。その一つが救援陣だ。

現時点で守護神はルーキーの栗林良吏(25=広島)、セットアッパーは4年目右腕・平良海馬(21=西武)がリリーフ陣の中核を担う予定だが、両投手は実力こそ文句なしも、代表経験が浅いことが一部ファンや球界関係者から不安視されている。

しかも2人を支えるべく今月5日に日本代表に緊急招集された千賀滉大(28=ソフトバンク)は今も復調途上。4月の試合で痛めた左足首の状態を本人は「今のところ大丈夫。不安なくやれている」と話すが、24日の強化試合(対楽天)では2回4安打2失点(2四球)と結果を残せなかった。この結果により、勝ちゲーム終盤は栗林、平良の両右腕に頼らざるを得なくなったのだが、これで万全なのだろうか。

五輪本番は実績十分のベテラン選手ですら想像以上の重圧と緊張に襲われる。百戦錬磨の田中将大(32=楽天)ですら、25日の強化試合(対巨人)後「(五輪戦は)日本代表ということでいろいろといつもとは違う。取り巻く環境が違う中でどれだけ自分の力を出し切れるか。そこがカギになってくる」と気を引き締めたほど。ならば、侍初招集の栗林と平良に重責を任せるのは賭けになるが、2人を知る球界OBに聞くと「千賀の復活を待つぐらいなら若手2人の方がずっといい」とこう続ける。

「栗林は新人とは言え、開幕から22試合連続無失点を記録。同様に平良も開幕から39試合連続無失点で日本記録を更新した。つまりこの2人は若いとは言え、緊迫した状況であればあるほど力を発揮するタイプ。日の丸の重圧を力に変えられる非凡な能力がある。しかも栗林は直球とフォークという縦系の投球が武器なのに対し、平良は直球とスライダー中心の横の変化を得意とする。この2人を順次投入することで、相手打線をかく乱できる可能性も高まる。故障明けの千賀より確実に計算できるので稲葉監督も2人と心中覚悟でしょう」

確かに若手2人は代表招集後もチームに溶け込み、巨人戦では共に1回無安打無失点の好投。その試合後も栗林が日の丸の重圧に関し「シーズン中も今までにないぐらいの緊張で投げているので。シーズンの緊張、プレッシャーが今生きている」。平良も「初めての代表で登板できて良かった。(大会公式球も)いつもと変わらず違和感なく投げられた」と頼もしい言葉を並べた。

この肝っ玉とシーズンの実績を持つ若武者2人であれば…。周囲の不安は杞憂に終わるのかもしれない。

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